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クリード 炎の宿敵のGreenTのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
1.5
すごいガッカリ。全然面白くなかった。『ブラック・パンサー』で忙しくて、監督、脚本をできなかったライアン・クーグラーの代わりに、スタローンが脚本をやったのが原因だと思った。

だって、話がまるで『ロッキー2』をすっ飛ばして『ロッキー3』と『ロッキー4』の焼き直しみたいなんだもん。私は3と4は商業的には成功したかも知んないけど、時代的背景を取っ払って一作品として見たら駄作だと思っているので、それをまたやろうとしているってどー言うこと?!って思った。

冒頭でアドニスは突然世界チャンピオンになり、ビアンカにプロポーズするんだけど、このカップル嫌い!前回から、この二人は本当に愛し合ってる感じがしなかった。お互い夢に向かっていく同志、みたいな関係としてはいいと思うけど、カップルとしてはなあ。指輪渡した直後にセックスするっていうのも、なんか生々しくて嫌だな~と思ったし、結婚するとなったらあっさり「LAに引っ越そう。私も音楽で成功したいし」的なビアンカに唖然。

世界チャンピオンになったことが「終点」じゃなくて、勝負はこれからなのに、「あなたはもう夢を叶えたから、今度は私の番」とばかりに、LAの豪華なアパートで、悠々自適に音楽活動するビアンカに「夫の金で成り上がるのかよ!」と全く共感できない。

イチローを支えた弓子夫人とか、貴乃花のために女将さんになろうとした景子さんとか、プロ・アスリートの奥さんって大変なんじゃないの?!って思ったんだけど、時代的に「女が影に隠れる必要ないじゃないか!」と言うのなら、この二人は結婚する必要もないだろう。逆に、ビアンカはビアンカでレコード契約を獲得したために別々の道を歩むことになったので、アドニスは落ち込んで、それでヴィクターにボコボコにされた、とかいう話の方がよっぽど共感したと思う。

ビアンカもアドニスも登り調子なのはまあ受け入れるとしても、その上妊娠?!あり得ない。まあ、そうやっていくつもの出来事が重なっちゃうことって人生あるかもしれないし、だからこそアドニスがヴィクターに負けるって設定なのかもしれないけど、色んなこと詰め込みすぎて話がまとまらない。

ドラゴが、ロッキーに負けたことでソビエトでひどい扱いを受け、奥さんにも捨てられた恨み節で息子を殺人的ボクサーに調教し、ロッキーへの復讐を待っていたという設定は面白いなと思ったけど、も~、スタローンは『ロッキー4』の時もそうだったけど、アイデアは面白いんだけど、描き方が下手くそなんだよ!

スタローンは実質的に、ロッキー・シリーズをめちゃくちゃにしてしまった人なので、脚本家としては才能ないのだろうなあ。ドラゴとヴィクターがアドニスを挑発して、周りがやめろって言っているのに、本人はやるって言い張るパターンはロッキーの定番だけど、ロッキー・シリーズですでにこのパターンが陳腐になっているのにまだやるの?!って思った。なんかもっとマシな「戦わなければならない理由」はあるだろうに。

私だったら、ドラゴが貧しい生活をしながら殺人マシーンに仕込んだヴィクターを、アメリカのプロモーターが見つけて連れてきた。出が貧しいから強くて、あれよあれよと言う間に世界チャンプになってしまったが、強すぎて挑戦者がなく、アドニスを煽ってきたとか、そういうシンプルなストーリーでいいじゃねーか!と思った。

世界チャンプになって、結婚して、引っ越して、子供できて、戦って、一回負けて、再挑戦っていう展開必要?色々詰め込みすぎて、もはやどこがゴールなのかわからない。

ヴィクターに負けたアドニスがよそよそしくなって、ビアンカはアドニスのお母さんに相談しに行くんだけど、この二人の間に全くケミストリーがない。ロッキーとアドニスの間にも信頼感とか愛が感じられない。ヴィクターとドラゴのストーリーも中途半端だし、誰にも感情移入できない。

トレーニングのモンタージュもつまんなかったー。これが面白くなかったら何が面白いんだこのシリーズ!ヴィクターが、プッシュアップしてロープバタバタするのだけ「すげー!」って思ったけど、アドニスの水中でスパーリングとかすげーダルいし。ヴィクターに再挑戦することになった後、LAの郊外?にあるなんなの、あれ?砂漠のジム?意味わかんない。あそこでのトレーニング・モンタージュもめちゃつまらなかった。音楽が良くない。今流行りのヒップな音楽なのかも知らんけど、全く盛り上がらない。

『ロッキー4』はあまりにも内容がなくて、80sのダサいポップスに乗せたトレーニングのモンタージュばっかりで、私はマジでブチ切れていたんだけど、昔からロッキー・シリーズを好きだって人に「スタローンは、当時はやりのミュージック・ビデオのような映画を作りたかったんですよ」って言われてなるほどと思った。スタローンはあれを「成功」だと思ってて、今回もそれをやろうとしたのかなあ。完全に失敗だったと思うのだが。あの時『ロッキー3』で『アイ・オブ・ザ・タイガー』が売れたから、今回もサントラでちょっと儲けようとしたんじゃないかな〜と勘ぐってしまう。

音楽と言えばモスクワの試合で、アドニスの入場のとき、ビアンカが生で歌いながら入場するじゃないですか。あれもなんかおかしいよ!

リマッチは、当然アドニスが勝つんだろうな~、なんかアドニスが勝っても全く嬉しくないなって思いながら見ていた。だって、これでヴィクターが負けたら、ドラゴとヴィクターってもう何も残ってないじゃない。同時に、このシーンまでの間に、ヴィクターとドラゴの人物描写がしっかり終わっていないので、どこまで感情移入していいかわからないし。アドニスとビアンカの心の通わない恋愛ドラマをもう少し削って、ドラゴと息子のヴィクターがウクライナで貧しい生活をしているという描写をもっと入れて欲しかった。この二人の人物描写が中途半端で、肩入れもできないし、嫌うこともできない。

そしたらなんと、タオル投げちゃった。これは、アポロのときロッキーがタオル投げなかったから?それと、今までただひたすら冷たくトレーニングしていたドラゴが、やっぱり息子が可愛いと思ったから?

『ロッキー4』に絡めるって意味ではいいかも知んないけど、この負け方は・・・。そもそもなんで今回はアドニスの方が強いのかって必然性もないしなあ。これじゃあドラゴ親子がなんなんだ!って感じじゃん。

で、最後、ドラゴが息子と並んでランニングする、そしてロッキーは孫に会いにいく、ってそう言う流れにしたかったのはわかるんだけど、なんか強引。誰が主役なの?アドニスの娘が耳が聞こえないとか、必要?

DVD特典は、ドラゴ役のドルフ・ラングレンが流暢な英語でホストを務める「ロッキーのレガシー」みたいな感じで、結局ロッキー・シリーズのまとめみたいになってて、クリード関係ねーじゃん!って感じだった。『クリード チャンプを継ぐ男』がすごく良かったので、ロッキー・シリーズ全部観たけど、私はロッキーは3で死ぬべきだったと思うし、その後ロッキーには語るストーリーはない!って思ってたんだけど、それを『クリード』がすごく上手に拾ってきたのに、スタローンはまたそれを、ロッキーを台無しにしたのと同じ方法で台無しにしたと思う。今度こそ、ロッキーは死ぬべきだったのに!!スタローンはどーーーーーしてもロッキーを手放せないんだなあ。いい加減、往生際が悪い。