イチロヲ

団地妻 忘れ得ぬ夜のイチロヲのレビュー・感想・評価

団地妻 忘れ得ぬ夜(1972年製作の映画)
3.5
素顔を隠した男に強姦された人妻(宮下順子)が、夫(浜口竜哉)との日常生活に深い闇を感じ始める。非日常に触れた若妻の「新たなる性の目覚め」を追っている、日活ロマンポルノ。

独立系ピンク映画に出演していた宮下順子が、本作にてロマンポルノ・デビュー。まだ本人がアフレコしていない頃なので、別人(白川和子か?)が声の代役を務めている。そのため、後発の作品を先に鑑賞していると、奇妙な違和感に見舞われてしまう。

強姦の衝撃により疑心暗鬼と人間不審に陥っている人妻が、周囲の男たちに対して、真犯人の嫌疑をかけていく。ミスリードに翻弄され続ける主人公の姿に喜劇的要素があるため、ホラーとコメディの表裏性を楽しむことができる。

強姦の真犯人は中盤部で判明。その後は「秘められていた情欲の目覚め」と「父権主義からの脱却」をテーマにしたドラマに転調。鑑賞者に推量させるべき心理状態を、主人公が簡単に吐露してしまうところが至極残念。
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