ぱた

キンキーブーツのぱたのレビュー・感想・評価

キンキーブーツ(2005年製作の映画)
3.5
ミュージカル日本公演は初演から観たことがあったのだけれど、映画は観たことがなかったので。

まず初めに驚いたのが、ミュージカルはミュージカルらしく、かなり華々しく演出されているんだなと。対して映画の本作品は誠実にそれぞれの心情描写を事細かく映していて、切ない気持ちが大きかった。

また、この作品はドラァグについてがメインだと思われがちだが、父と子についてがメインだろうと自分は思う。し、たぶんそう。
一見全く境遇の異なる2人かと思いきや、抱えるものが同じようなこと(いや、全く同じというわけではないのだけれど)だと気づいた時には2人はもう良きパートナーだった。チャーリーの、ローラへの接し方は誰もがやりそうな典型的なものだと思うし、その描写が上手い。

ミュージカルと異なるシーンで印象に残ったのは、ローラとローレンのダンスシーン。このシーンの2人の熱視線と表情はすごい。ローレンの色気にそりゃチャーリーもあたふたしてしまうよ…。
このシーンでローラがローレンの恋心に火をつけ、チャーリーも2人の様子を見て胸の内に発生する「もやっ」を自覚する。ミュージカルではこの「もやっ」の描写が(たぶん)ない。
なので、ミュージカルでは細かい心情描写をすっ飛ばしてチャーリーがローラにひどい言葉や支離滅裂なことをぶちまけることになり、観客もあのシーンのチャーリーについて不可解だったと感想を残すことも少なくない。(自社調べ)

ミュージカルと共通する感想は
「自分も『ローラ』に出会いてぇ!!」
です。
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