フランシス・リー監督の長編デビュー作。
春を迎えたイングランド北部ヨークシャー。年老いた祖母と足の不自由な父親に代わり、寂れた牧場を一人で管理する青年が、ルーマニア人短期労働者の若者と関係を深めていく。
"In my country, spring is the most beautiful. The sun. The flowers. The smells."
イギリス版『ブロークバック・マウンテン』とでも評したくなるような、繊細で美しい酪農ゲイロマンス映画🐑🐂🚜🏴👨❤️👨🇷🇴。
ゲイロマンス映画としても、アルコールと行きずりのセックスで日々のストレスを発散していた寂れた牧場の跡継ぎが、自らの将来を模索する青春ドラマとしても良く出来ていた。イギリスに住むルーマニア人移民の置かれた境遇も垣間見れた。
ゲイロマンス映画として、重苦しい空気感を伴わないごく自然な作風や、エロテックさを排除し、リアリズムに徹した情熱的なセックス描写は、アンドリュー・ヘイ監督『WEEKEND』('11)の影響下にある作品で間違いないかと。
牧歌的で風光明媚なヨークシャーの風景が堪能できるのも大きな魅力。雄大なる大自然が、保守的な田舎社会で家族の世話と牧場仕事に束縛された孤独な主人公の成長を、黙って静かに見守っているかのようにも感じられた。
"My country is dead. You can't throw a rock in most towns without hitting an old lady crying for her children who have gone."
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