なべ

グッバイガールのなべのレビュー・感想・評価

グッバイガール(1977年製作の映画)
4.0
4.0は高すぎか(本当は3.3くらいか)と思いつつ、思い出補正も働き最高の映画だと信じてるから、うん、やっぱりこのままでいいや。
50代の映画ファンならきっと名画座で5回は観てる懐かシネマ。困ったときはグッバイ・ガールを併映しとけって感じだった。

脚本はニール・サイモン。都会的な洒落た会話劇を演出するのはハーバート・ロスだ。2人ともニューヨーク生まれのニューヨーク育ち。もちろん舞台もNYのマンハッタン。けど観光名所やフィフスアベニューは出てこない。ビッグビジネスの舞台じゃない下町の雑踏がメイン。裏道のこじんまりしたニューヨーク。
今見るとオープニングが結構雑だけど、本編は大丈夫だから安心して。粋な会話とオーバーアクトでそれはもう気持ちよく笑えるから。劇作家の脚本って感じのする舞台っぽい会話劇。今の感覚からするとわざとらしい演技かもしれないけど、当時はすごくいきいきとしたセンスあふれる名演だったんだよ。見終わった後は主要メンバー3人のことが大好きになってる。ほっこりして人肌恋しくなること請け合い!

捨てられ癖のあるシングルマザーのダンサー、ポーラが主人公。ポーラを捨てた男のポスターが壁に貼ってあるんだけど、これ見逃さないで。ロバート・デニーロだから。出演のオファーを断られた恨みなのかワインのボトルを投げつけられてるw
さて、そんな傷心のポーラのところに、アパートを譲り受けたという男がやってきて物語は動き出す。この売れない役者エリオットに扮するのが、リチャード・ドレイファス。ジョーズのあの海洋学者ね。雰囲気もあのまんま。チビで早口で、イケてはないけど頭の回転がはやい男。リチャード・ドレイファスはこの作品でアカデミー賞を取った。劇中で、「きっとアカデミー賞を取るわ」って言われてるからねw
グッバイガールでひときわ輝いてるのがポーラの娘ルーシー。この子が最高なんだよ。とんでもなくませたクソガキなんだけどかわいい。キュートなおしゃまさん。この子がエリオットとどんどん仲良くなっていくことで、2人の関係に変化が訪れるのね。反目し合う2人の要。ここら辺はやっぱり脚本が巧い。ポーラ・エリオット・ルーシーの関係性が変化していく様が自然で心地いいのだ。やがて恋愛の甘い匂いが漂い始め、粋でいなせなNY風の中年ロマンスが展開される。大人の恋愛なので甘過ぎず眩し過ぎない演出。でもちゃんとうっとりできる。人を好きになるときにキュンとなる部位がすごく刺激される。
終盤、売れない俳優エリオットに大きなチャンスが訪れる。やっぱりまたポーラは捨てられるのか、あげまんのキャリアを重ねるだけなのか…。
ここでデビッド・ゲイツのグッバイガールが流れてきて、雨のNYの交差点を見続けてエンディング。ふたりの思い出の交差点でも、有名でも美しくもない交差点だけど、まあ長いこと見せられるw 遠ざかるタクシーが戻ってくることもないし、誰かが現れることもないので、余韻に浸らなくてもいい人は停止ボタンを押しても問題ありません。
でもいい映画よ。あと1本借りなきゃってときに選ぶと吉。
なべ

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