ラテ岡

来るのラテ岡のレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
5.0
夏も本番、お盆間近ということで日本ホラー視聴週間に入りました。

海外のスプラッターホラー、サスペンスホラーは結構耐性もあり、なんなら好きなんですけど、いわゆるジャパニーズホラーは大の苦手なんですよね。

ただこの前白石監督の「オカルト」を見まして、視聴後、「クソつえー霊媒師のいるホラー映画は安心して見れる」ということに気づきました。

で、クソつえー霊媒師のいる映画はねーんかと思ったらありました。

その名も「SM都市伝説 -悪魔祓いの噂-」

悪魔に取り憑かれた女と聖職者の決戦!!SMエクソシスト!!鞭打ち悪魔払い!!出血スパンキングで悪魔を迎え撃つ!!

あ、ごめんなさい間違えました。

これはエクソシストのエロパロディ映画でした。

はい、「来る」ですね。

キャストが豪華なので前々から気にはなってたんですよね。
で、ざっくりとした概要

「謎の怪異に取り憑かれた一組の家族と、その正体を突き止めるべく調査に乗り出したオカルトライターが、民俗学者や霊媒師らの力を借りて想像を絶する最恐の敵に立ち向かっていくさまを鮮烈に描き出す。」

超面白そうじゃん、これだわと思ってレビュー見たんですけど

どこも軒並み低いんで、覚悟しましたけど
結果としては

もう星5ですわ。

実際のところは星4.1くらいですけど平均押し上げるために5にしときます。


で、他の人のレビューを見てないんですけどなんで評価が低いかっていうとたぶん「ホラー映画でヒヤッとしたい」人とか「原作を求めてる」人が多いんじゃないかなと思いますね。

まず原作に関しては僕読んでないんで知らないですけど、そもそも実写化とか映画化で僕たちいい思いしたことって今までないじゃないですか。
映画に原作クオリティ求めるのもうやめましょうよ、命がもったいない。

で、この映画を純粋なホラー映画として視聴するのもお勧めしないです。
その辺の作りに関してはこの映画は赤ちゃんです。
はっきり言って全然怖くないし、ホラー映画のお約束みたいなのは全部たんすの奥底にしまってるような映画です。

たぶん製作者側も別にそこまで怖くしようとは思ってないんじゃないかな、知らんけど。
怖くしようとしてこのクオリティなら僕は監督に「SM都市伝説 -悪魔祓いの噂-」無限視聴編の血鬼術使います。

じゃあ、いったい何が面白かったのか?
ポイントは三つです。

まず一つ目、分からない「何か」の恐怖
恐怖演出に関してはすこぶるうんちっちな今作ですけど
そもそもの恐怖の根源、原作でいうところのぼぎわん、ですかねボギワン・ケノービーが全く得体がしれないということ自体が怖いんですよね。
これは最初から最後まで姿も背景も何もかも分からないんですね。
霊なのか神なのかすら。
思うに人の感じる一番大きな恐怖って「分からない」ことなんじゃないかなって思うんです。
例えば、夜の森の中で何かが動いた気がしたけどそれが動物なのか何なのかわからない。
あとは、将来自分はどうなっているのだろうか仕事は、健康はどうなのか未来が見通せない、わからない。

とかとか、「分からない」ってすごい怖いんですよね。
ぼぎわんはそれの最上位なんでしょうね、きっと
まぁ存在が強大すぎきて途中から「分からない」から「わかんねーけどなんか神っぽい何か」っていう分からないなりに答えに行き着いてしまって陳腐化しちゃいましたけども。
もう少し小さい風呂敷でも良かったんじゃないかなぁとも思う。


そして二点目「物事の表と裏」
今作には主要人物にイクメンパパブロガー、その嫁、フリー記者、パンクス霊媒師、あと民族学者がいましたがそれぞれが表と裏の顔を持ってましたよね。

イクメンブロガーは、イクメンと称して子供と嫁をブログのネタにして育児はほったらかし。
嫁は、、、、、

ごめんこの人の表を考えてみたけどあんま表といえる部分ないわ、ずっと大変そうだったし。
さっきの話はなかったことにしてくれ。

まぁとにかく、最初僕たちはみんなの表の顔を見せられるんですよ。
それぞれこういう人間なんだなって無意識化で勝手イメージが出来上がるんですよ。

でもそれがストーリーが進むにつれてどんどん剝がれていく。




みんなよくある話じゃないですか、育児しない口だけ夫、嫁がヒステリックを起こす、弱みに付け入り不貞を働く間男
ただのホラーじゃなくてそういう人間の表と裏がぐるぐる回ってストーリーが展開するのもこの映画の面白いところなんじゃないですかね。

そして最後に三つ目、ここが大事

そう、この映画は

小松奈々演じる、パンクス我流霊媒師比嘉真琴と
松たか子演じる日本最強オカルト界の範馬勇次郎こと比嘉琴子の
スーパーオカルティックサイキッカーシスターズの二人が日本の全霊媒師を巻き込んだぼぎわんとの全面戦争映画であるということ

なんか前半にさっきまで最もらしいこと言ってたけどあんなの全部嘘よ。
恐怖の根源は「分からない」こととか嘘嘘、そんなんよりデケー音と白塗りの顔のほうがよっぽどこえーし、表と裏もクソもねーよ。
なんか裏がありそうなのみんな最初からなんとなく気づいてたろ。

そんなことより、松たか子が黒髪ロングでタバコ吸って淡々と話して
巫女姿で岡田准一に綺麗な右フック喰らわしてあげく、ベランダから突き飛ばしてボギワンケノービーにサイキックパワーお見舞いしてるほうが面白いじゃん、絶対に。

パンクス霊媒師はあんま役立たなかったけど見た目に反してすごく優しくて心配性でおまけに可愛い、あと可愛い。ギャップが詰め込まれてるんだよ。

んで最後の霊媒師全員集合で全日本オカルトサミット準備の模様とサミット本番の様子、お前ら見た?

最高にワクワクするでしょ。

あの感情はエンドゲームの「キャップ、聞こえるか? サムだ」以来よ。

あんなんもうたぶん見れないぜ。
宗派も神もなんの隔たりもない霊媒アベンジャーズ。
俺、差別のない世界ってきっとアレのことを指すんだと思うよ。

ああいうお祭り騒ぎみたいなのってちゃんと金のある映画しかできないから、あれだけでもいいもの見れたよ。

この映画はホラーを楽しむ映画じゃないの

最強女霊媒師と愉快な仲間達のインフィニティーウォーを楽しむ映画なワケ。
ラテ岡

ラテ岡