みかぽん

ラスト・ムービースターのみかぽんのレビュー・感想・評価

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)
3.8
俳優も市井の勤め人も、40を過ぎた頃から我が身の行く末が始めぼんやり、そのうちはっきりと見えてくる。
会社の場合、組織の懐事情や個人が持つスキルも勿論加味されるであろうが、管理職に就かなければ遠巻きに転職支援のお声掛けがあるし、課長職は55歳、部長職は58歳で役職定年。更なる出世が見込めなければ出向、転籍、肩叩き。稀に関連企業へ厚遇で引き抜かれる転職者もいるにはいるけど、これは若干、仁義に反する行為であり、お土産付き転職は規則で禁止されたりもしているので、悲しいかな、多くは燃費の悪い型落ち大型車と同列にされてしまう。
A課長は50過ぎで会社をすっぱり辞め、早期退職で上乗せされた退職金を元手に畑を買ってIターン。近隣農家に教えを乞いながら、夫婦でぶどう農家を始めた。
身動き出来ないまま社畜に甘んじる我々は、その意外な動向を固唾を飲んで見守ったが、本来、実直で誠実な人柄に加え、今までに身につけたスキルも十分発揮して仕事は軌道に乗り、今では収入も勤め人時代を軽く超えている(らしい)。否それより以前に、組織の呪縛から解放され、汗を流して働く達成感に満足し、転職の後悔はないと語るその表情は清々しく、またそれが絶対的に羨ましい。

イーストウッドは監督として既に重鎮の域にあり、レッドフォードは監督業に加えて映画祭まで立ち上げて、これを軌道に乗せて大きなものにした。プラピはすでにプロデューサー業が本業を上回る充実振りで、「役者は若い人が頑張るべき仕事。自分はこの先、制作側に傾斜して行くつもり」と話している。

1980年代の後半、人気に翳りが見え始めたバート・レイノルズ。恋人、サリー・フィールドはその反対に、人生最大のキャリアへと登り始めていた。またいつもライバル扱いのイーストウッドは、元恋人のソンドラ・ロックとの泥沼の愛憎裁判が始まっていたが、監督業は次々と成功させていた。そして、バートはサリーと別れた後の結婚と離婚で、財産の全てを失った。

俳優のような人生を送るはずもなく、また本作が意図する帰結とは異なる感想をお詫びしたいが、自分はこの先、果たしてどう生きて行くべきかを終始、俯瞰の目線で考え続けていた…😑⤵︎。
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