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クリシャのあのレビュー・感想・評価

クリシャ(2015年製作の映画)
4.5
配給 グッチーズフリースクール

トレイ・エドワード・シュルツの作品の中で一番好き
長回し・回転しまくるカメラ・色使い・車などすごくトレイの映画を観ていると感じるシーンが多くて 先に他作品を観て良かったなと思った

「家族」を徹底して描いてきているトレイの原点でもあり 冒頭でものすごく大人数の家族が集まるいやに明るい雰囲気や不快感の作り方がさすが
家にたどり着くまでのワンカットもすごく良かった
トレイは車を何かと使うけれど 何かが起こりそうな、これから何か悪い方向へ行くという小物なのかな
どの作品にも共通する何かが起こりそうだなと思わせる不穏感がめちゃくちゃ巧い

あんなにグロい鶏の調理シーン見たことないし なにかと思いきやオーブンのアップでしたみたいなショットもすごく好き

初めはみんなクリシャにハグしたりして歓迎しているように見えて 実はそんなに歓迎されているわけでもなく
一歩引いたようなショットがクリシャと彼らの距離感を表しているようだった
あの柵や窓ガラスもクリシャと家族たちを隔てているような見せ方で良い
キッチンのカウンターを挟んで境界線のようになっているのも面白く 女が料理をして男は何もせず遊んでいるみたいな構図も恐ろしい(料理してるやん!と思った男は自分で飲む用のスムージーを作っているだけだった)

赤の使い方もトレイらしく クリシャ、クリシャの母、トレイの3人が赤を着ているのは血の繋がりを表していたのだろうか 切っても切れない関係性のような衣装が印象的

クリシャの過去が語られなかったり 映画を撮るという設定のトレイをトレイ本人がやっているのも想像の余地がたくさんあって面白くて 83分というコンパクトな尺に収め切って余韻を残すのも ポコポコした音楽も なにもかも良かった
あ