クリシャの作品情報・感想・評価

「クリシャ」に投稿された感想・評価

natsumi

natsumiの感想・評価

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これ上映される予定じゃなかった?キャンセルされたのかなぁ。主人公のクリシャは60代の口の悪いばあちゃん。(冒頭から連発するファックの言い方が独特。phwaakっぽい。) 何か過去にやらかしたことがあり、もう更正したことを証明するために親戚たちの感謝祭パーティーに訪れた。これが最初クリシャの過去を知らないまま話が進み、画面上で一度に様々なことが起こっている忙しいパーティーの中、不穏な音楽や目の動きっぽい不安定なカメラワークで全く何が起こるのか予測ができなくて緊張感がすごい。怖すぎる。結局無条件に愛を与えてくれるのはわんちゃんだけだった。

元々俳優の人が多いみたいだけど、ほとんどトレイ・エドワード・シュルツ監督の親戚が本名で出ている。クリシャも監督の元従姉妹がモデル。監督本人もクリシャが和解したい息子役で出ている。みんな演技がリアルで上手い。
osaka

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5.0
アルコール依存症のクリシャは息子トレイや自身の兄妹家族との関係をもう一度やり直そうと意を決して感謝祭へと向かう(おそらく向かっているはず)。実家の場所すら思い出せないくらい長らく顔を見せてなかったクリシャと久々に再開した彼らから向けられる作り物の笑顔や愛想に疎外感を感じながらも何とか上手くやっていこうとするが、肝心のトレイとの関係はもう修復不可能なものであると彼女は痛感する。

ここで彼女は「トレイから嫌われてしまった」と感じるのだが、嫌うとか怒るとかそんな次元でしか他人のことを理解できない点にクリシャの最大の問題がある。義理の兄弟が「きみは直感で行動しすぎる」と咎めていたがまさにそこで、子供過ぎる。そうやって責められると「あ、わたしは嫌われてしまった・・・」とダウナー状態に入って自暴自棄になり、また酒を入れてしまう。ほんとうにどうしようもない悩みを60歳にもなって未だ抱えているのだ。

そんなどうしようもない老女を執拗に追い込むように本作は作られているように感じた。ブライアンマコーマーが担当した音楽はまるでストレスが溜まるクリシャの、アルコールを欲する心を加速させているように聞こえるし、自分以外の家族がゲームをしたりする様を眺めるシーンでは、ブニュエル映画において疎外される主人公とクリシャが重なるようにすら見える。

チキンを皆の前で落としてからの展開なんて悲惨すぎて目も当てられない。最後彼女は一瞬微笑んだかのように見える。「わたしってこんな駄目なところあるのよね」という開き直りともとれるし、あまりに想像通りの展開過ぎて思わず笑ってしまったのかもしれない。自分はこのラストを見て「叫びとささやき」を思い出した。叫びもささやきもかくして沈黙に帰す―。
み

みの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

ルーキー映画祭アップリンククラウドで。七面鳥ぶちまけて皆に責められるあたりで寝落ちして不快なまま終わってしまった…🙃
救いはあるのだろうか
matsushi

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3.8
「waves」の監督、トレイ・エドワード・シュルツの長編初監督作品。
親族と長年疎遠だったクリシャがサンクスギビングで親族を訪れるも、なかなか事がうまくいかず…というようなお話。
序盤から不穏な空気を漂わせる、長回し、トラッキング、ズームアウト、ズームインなどの視覚的演出。随所で流れる不協和音。wavesでも使われていたトレイ監督特有のアスペクト比を用いた表現。
最高でした。
ストーリーは監督の実体験に基づいているらしく、役者陣も、息子トレイ役の監督本人に加え、主役のクリシャ役には監督のおば、他に監督の母親や、親族、友人を起用し、実家での撮影。セリフはほとんどが即興というイカれっぷり。
久しぶりに親族が集まったときのあの探り探りな奇妙な雰囲気を上手に醸し出していた。
クリシャ自身、他の親族、息子のトレイの心情が痛いほどわかる。自分の体から生まれた子に拒絶される痛みは想像したくもない…。
人間は弱さや脆さは人それぞれ。
だからこそ、精神的に大きな痛みを受けたとき、それを乗り越えられるか、乗り越えられず、放棄して落ちるところまで落ちるかはその人自身の強さに起因する。
ホラーとかと勘違いしそうな人多いと思うので、これは歴としたドラマとだけ言っておきます! 
個人的には内容、演出含めすごいタイプだった。
日本で上映されてみんなの反応はどうだろう。
saho

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3.7
“I had to leave to be a better human”

「ウェイブス」があまりに素晴らしかったので、監督のデビュー作を。
感謝祭に参加すべく、かつて捨てた家族の元に戻ってきたクリシャ。
目的はたった一つ、息子との和解。

監督自ら息子のトレイ役を演じて、母クリシャ役は監督の実際の叔母、さらに監督の母親もクリシャの妹役でがっつり出演(素人とは思えない演技力)。
そしてこの”クリシャ”のモデルは、実際に感謝祭に乱入してぶち壊し、その後オーバードースで亡くなった監督の叔母。
ここまでパーソナルな映画があっただろうか。

映画は終始不穏な音楽が流れ、クリシャがどんどん堕ちていく姿に胸がざわざわ。そして大きさが変化するスクリーンが拍車をかける。
怖い、怖いです。

74本目 / 2020
shinya

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3.5
同監督のイット・カムズ・アット・ナイトは駄作でしたが、これは悪くない。寧ろ良い。

冒頭から溢れ出る不穏感が堪らないのですが、どの国のどの家系でも必ず一人ぐらいは一族の集まりで迷惑を掛ける人はいるものですが、まー何とも虚しく切なく悲しい。

監督自身の体験談を元に親戚の叔母さんが主役をやってるみたいで、監督にとっては撮る必要があった作品でしょう。
若さと技術が良い感じに交わった作品でした。
林檎

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3.5
ストーリーや主人公の感情は決して好きではなかったし、美しいと思える場面もあまりなかったけれど、音楽やカメラワークが効果的に使われていていいなって思った。

騒ぎ立てる感じ、不快感や湧き上がる狂気はダーレン・アロノフスキーの『mother!』が浮かぶ。火山を見守るような感じ。

根深く残ってしまう、こういった身内間でのギクシャクはさらにじわじわと精神を蝕む・・
何事も向き合うことが良いとされてる気がするけど、別に逃げても良くない?と思う
最初から苛々した様子で会いに行くのってどうなんだろう?
新文芸坐ルーキーオールナイトの3本目。

序盤から漂う不穏な空気感がゲットアウトっぽい!IT FOLLOWSっぽい!となりかなりテンションが上がったし眠気が覚めた。空気感を演出するカメラワークに加えて音楽が凄く良い。不協和音みたいな感じとドーンとした音が組み合わさってて好みの感じだった。

冒頭のあの目とクリシャが連れてきた犬、そして巨大な鶏肉と騒がしすぎる吹き抜けの家。そこに加えて調理シーンになった瞬間に「こいつ人もしくは犬を殺してスープにするのでは。。」と思ってしまい、割と本気で怖い感じがした。洗面台に向かい合ってよくわからないボックスから薬を出して飲むとかも含めてこのあたりまでの演出が素晴らしかった。

中弛みもなくスマートに不穏さが継続してからの大オチ。いや、そういう事ね。となってからも心がザワザワした感じが継続してきてうわうわうわという感覚。

クリシャの表情とバックの不気味な音楽が非常に映画全体を引き立てていたし、本当に監督の家族を使っているという部分が演出のリアリティを作っているのかなという感じがした。

この作品が4本の中では一番映画として楽しめたし、面白かった。
miyagi

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3.3
散々引っ張っといてそれだけ?感は否めないけど、とにかく音の使い方が上手かった。
最初ワンカットで押し切るのかと思ったけど、そうできるようなストーリーではなかったか。
でも、長回しの会話劇でワークするカメラの正確さは好感を持てたし、とにかく不穏な空気を演出するのがうまかったので、ストーリーさえカチッとはまれば傑作輩出する可能性をめちゃくちゃ感じた(偉そうにすみません)
クリシャが姉より確実に老けてるのがミスキャスト?
超長尺の海外でよく作りがちな啓発ビデオともとれる。

このレビューはネタバレを含みます

症状が悪化する後半のくだりをもっと強調すればホラー並みのインパクトになったと思うけど、終始冷静に距離感を保った点に大変好感が持てた。主人公を決して笑い者にしなかったから、とにかく切なく、辛い。親戚とか家族とか不思議だよね。血が繋がってても他人になれる。助けてるようで追いつめてたり。中毒症状を完治するのって本当に大変...
あと不安の煽りかたが上手...!鶏肉の生々しい下ごしらえ、タイマー探すのにキッチンをぐるぐるぐるぐる回るシーンと、不意にお母さんの顔のアップが挟まるとこ、良かった。少ない展開&説明も少ないなのに目が離せなかった◎