ニクガタナ

ヘレディタリー/継承のニクガタナのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.6
祖母の死をきっかけに、何かに操られるように、超常なる恐ろしい事態に見舞われて行く家族を描いた壮絶なオカルト映画。奇妙な出来事に異様な説得力とリアリティがあって大変不気味。主人公がドールハウス作家ってのが良い設定。冒頭作業部屋内の子供の部屋のドールハウスに寄っていくと実際の子供の部屋になってる演出が面白い。セットもドールハウスのように引いて客観的な捉え方ができるように組んであって、家族が人形のように操られていることを象徴してるのか、最後のアングルにも活かされ、練られた構成に感心。息子はあんな事故起こしてお咎めなしか?どういうことだ。何が「大丈夫」だったのか?朝の主人公の絶叫からの慟哭がいたたまれない。想像力掻き立てる音の使い方が上手い。ギコギコギコギコやめて!何を継承するんだろう?娘が口で鳴らす「コッ」を家族みんなで継承するのかと思ったらそうではなく、鳩の首切ったから死に方継承するんだぁと思ったらそういうことでもなく。ストーリー展開も怖がらせ方も想像の斜め上を行く。時々挟まるすごく手の込んだカメラワークは何の意味があるのか分からないが魅力的。アルファベット引き継ぐエンドロールまでセンスある。拾えてないだけで、ちゃんと描かれてるのかもしれない気になるところが多々あるようで、観直したいけど怖いからやめておく。夢か現か、かつての夢遊病での奇行が筋にも影響する主人公を演じたトニ・コレットの何かに取り憑かれたような芝居が超絶上手くて怖い。一家の良心的な旦那が気の毒過ぎる。息子は眉毛が濃くて、両親と血の繋がりを感じないが、最後は確かに王様っぽい。独特の顔立ちの娘も立ってるだけでなんだか不穏な雰囲気醸す。ナイスキャスティング。これが長編初監督のアリ・アスターにまんまと心操られた感じ。悔しいが面白い。なんかすごいもの観せてもらった気がする。ありあしたぁ!
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