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5時から7時までのクレオのAQUAのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.6
誰にでも気分がすぐれない時はある、それがあと2時間後に死を宣告されるかもしれないという不安にさらされていたら尚更だ。

今作はシャンソン歌手のクレオが2時間後に医師に診断結果を聞くまでの2時間を描いている。

クレオはまだ若くレコードも3枚出していてそれなりに生活は裕福なほうだと思う、しかし若いが故に今までは死に対して無頓着だった自分が初めて死と向き合わなければならなくなり、それまでに確立してきた人間関係や仕事、価値観が希薄にぼやけてしまう。 だから大好きな買い物をしても、恋人にあっても、歌を歌っても、猫と遊んでも、仕事すらも気分がすぐれない。

カフェに寄り自分の曲をかけても誰も聴いていない(むしろ歌がうるさいというカップルまでいる)、街中ですれ違う人の視線も無機質に自分に刺さってくるようで逃げ出してしまう、仕事も自分はまるで人形のようと感じてしまうほど。

そんな彼女は友達と別れた後ふと寄ってみたモンスリ公園で自然と水のせせらぎをきき少しリラックスをする、そしてそこで知り合った自分を知らない兵士と話をする事で少しだけ前向きになっていく。

冒頭の占い師のシーンではタロットカードだけがカラーであり、後は全編モノクロによりクレオの不安感を演出している。

また劇中の短編に若き日のゴダールも出演。

古き良きフランスの街並みと景色が堪能できるしクレオ役のコリンヌ・マルシャンも最初はプライド高い女性かなって思ってましたが見ているうちに愛着が湧いてきていつしか虜になっているから不思議です。

映画.com参照
ヌーベルバーグを代表する女性監督アニエス・バルダ初期の傑作で、ガンの診断結果を待つ若い女性歌手クレオの5時から7時までをリアルタイムで切り取った作品。ポップ歌手のクレオは自分がガンではないかと疑い、病院で精密検査を受ける。その結果が判明する7時までの間、クレオはパリの街中をさまよいながら幾人かの友人や見知らぬ人々と出会い、心の平静を取り戻していく。本作の音楽も手掛けた名作曲家ミシェル・ルグランがクレオの友人である音楽家ボブを演じたほか、ジャン=リュック・ゴダール、アンナ・カリーナもカメオ出演している。

5時から7時までのクレオ
Cleo de 5 a 7
1961/フランス・イタリア合作
配給:ザジフィルムズ、ハピネット
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