呪縛としか言いようのない既存の価値観を信念によって破壊して、世界を幸福に導く。これは英雄の物語。素晴らしかった。
TBS系列の日曜劇場が好きな人には間違いなくおすすめ。池井戸潤好きにも。
途上国の田舎の村。つまり閉鎖的で保守的な文化が根付く村において、女性の生理は穢れとされており、汚れ布や葉っぱで代用するのが“当たり前”とされていて、そうしないことが“恥”である。高級品である清潔なナプキンを使うことが恥。
その“当たり前”により最愛の妻にも病気や死のリスクが来ることを知り、汚い布を使うことや、ナプキンが高価過ぎる“現状に疑問”を持ち、それならばとナプキンを作ることを始める主人公ラクシュリ。
現代日本に生きる我々からすると、恥より健康が大事に決まってるじゃないか、と思うけれど、閉鎖的で、保守的な空間。
でも、この物語は2001年ごろのお話。21世紀初頭のインドではまだこんな社会の空気であることに衝撃。
ラクシュリは、徹底的に拒絶される。自分の生きる社会から。家族からさえも受け入れてもらえず、故郷を捨てる。
その後、運命的な出会いを果たして、適切なアプローチを模索し続けた結果、彼は多くのインド人女性を救う英雄となる。
個人的に思ったことをいくつか。
高いナプキンが55ルピー。劇中に、怪しげな猿の置物が出てくるんです。51ルピーを捧げて、猿の口にくるみを入れるとくるみが割れて出てきて、神に救われる、みたいな。で、ラクシュリの奥さん、ナプキンは高いから返してきて、というのに、この怪しげな猿には51ルピーが惜しくない。この時のラクシュリの絶望感。すごく共感してしまいました。近い人間の思いやりのある行動よりも全く知らない人間の行為をありがたいと思うあの感じ、うまくたとえられないけど、「なんでわかってくれへんねん」となりました。さすがに。
だからこそ、というか、それにつながるのですが、
日曜劇場的なドラマとしてすごく面白かったのですが、一方で、
ラブストーリーの側面からすると、やはり疑問が残るというか。なぜそっちなんだろう、と思ってしまった。
ただ、それでもラストの
スピーチのシーンが圧巻。
素晴らしい作品でした。
「女性を守れなきゃ男じゃない」