シネマJACKすぎうら

エヴァのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

エヴァ(2018年製作の映画)
3.2
まずは良い点から、、
映像が美しい。
常に動きと奥行きを感じる絵に魅了された。
スコープサイズ?横に広い画面の両端を注視させるような人物配置や、左右を横切っていく列車の動きが画面の拡がりを感じさせて楽しめた。

時折、不穏なBGMが流れて観るものにプレッシャーを与える演出もチラホラと。ところが全体的にはヒリヒリ感のあるサスペンスというよりは、ミステリー色の強いマッタリとした展開が主となっている。

また物語としては、アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」を想起させるように、もう序盤から主人公に破滅の影が見え隠れするようなプロットをみせる。
そして定石どおり、観客の大半が想像するであろう展開どおりにはならない。つまり大勢の予想を裏切る意外な結末が用意"は"されている。
敢えて言うが、これ、理屈も通っていて矛盾や構成上のアラがある訳ではない。ところが、なんだか肩透かしを食らった気分になってしまうのだ。

本作の難点は、その観客たちが想像するであろう展開のパターンよりも、実際の顛末の方が陳腐に映りかねないところにある。よく考えられているようで、実はツマラナイ (笑)。

アンチエイジングなご婦人方の精神的支柱にすらなり得るイザベル・ユペールの妖艶さと、いつになくイケメン度の高いギャスパー・ユリエルの佇まいが、この"急所"をクローズアップしてしまったのならば、なんとも皮肉な結果を招いてしまった映画と言える。