コーディー

希望の灯りのコーディーのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.1
壁は壊れど資本主義への転換が旧東独の人々に今尚刻む揺らぎ、そんな悲哀を描きつつも感傷は控えめに深夜の巨大スーパーという無機質な世界で隔てた棚越え通い合う人の温もり。寡黙な青年の試用期間を通して仕事に恋に揉まれての本当の意味での壁壊しwを優しく見つめる秀作!好きやわ〜

皆それぞれに儘ならない何かを抱えつつも深夜のスーパーに集い〝美しき青きドナウ〟に合わせてフォークリフトを走らせる。しがらみを一旦捨て共同体として流れに身を任せ働く姿、そんな何気ない風景や人の営みにスーパーの灯りさえ尊く思えてくる。大袈裟かもしれんけどそんなのに気付かせてくれる映画。

自分も昔スーパーではなく物流倉庫で電動ハンドリフトとか走らせた経験あるので仕事映画としても何か懐かしさを感じた。結構あれ楽しいんですよw
この映画が描く仕事は緩めやけど愚痴で成り立つ人間関係とか無骨ながら面倒見良いこんなオジサンいるわ〜な近さなど絶妙。単調を彩る幻想がナイスな塩梅!

当然年代によって東ドイツへの郷愁は様々みたいやし再統一がアイデンティティに及ぼす影響なんかも割と容赦なく描かれてた。社会主義時代にも増して止まれない彼らの寄り添い生きる姿が愛おしい。
昨日観た『半世界』にも通ずるような、この世界の片隅コミュニティ、大好物!劇場行くべきやったな〜