一人のヒトが抱えた狂気が最悪の条件とかけ合わさることで、まねいてしまった単独犯による史上最悪の死者数。
ある特定の政治思想の下にたくさんの若者が集った島を襲撃した極右思想の犯人。
楽園のような状況に亀裂を入れる重低音。
徐々にその銃声と恐怖が伝染し、確信的な状況へ追い込まれる。
犯人の姿は終始ほぼ見えず、ただ音と死によって状況の悲惨さが身体に浸透していく。
ダンケルクを見たときと似たような恐怖が画面から伝わってくる。
いったいなにがここまでの狂気を持たせ、実行にまで駆り立てたのか。
短絡的な敵をつくり、それを追いやることで満足感を得る時代の風潮の延長線にこの狂気があるとするならば、
世界はいったいどうなっていってしまうんだろう。
右も左も極端に振れてしまう。
多様で中庸な世界はどうあっても実現しないのかな。