655321

ライトハウスの655321のレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
3.4
なんて書き出そうか迷う映画だなあ。

非常に難解にも感じるけど“真実”というものはなく“謎”のままの映画なので、観たまんまの映画でもある。
多分考察サイトとかを巡っても元ネタを知ることが出来るだけで理解が深まるタイプの映画じゃない。

ただ色々考えたくなる映画であることは確か。

私が鑑賞後にまず思ったのが『セッション』に似てるなってコト。

デイミアン・チャゼル監督作品の主人公たちはいつも“孤島”にいる。
それを自虐的にかつ好意的に描いている。
マチズモ。ナルシズム。

『セッション』のラスト、主人公とその父的存在の教師は“何か”に到達する。
まさに今作でロバート・パティンソンが到達したのと同じ“何か”だ。
三者とも恍惚の表情を浮かべるがこの後に待つのは輝かしい未来だろうか?
多分違う。
ではその後に訪れる死はなんなのか?
ここの捉え方でかなり好き嫌いがわかれそう。

『ライトハウス』では“罰”としている。
今作のモチーフの一つである『シーシュポスの神話』がいう「人生は意義がなければないだけ、それだけいっそうよく生きられるであろう」てことですね。
不条理から目を背けた罰としての死。
不条理への同意がもたらす死。

だが私はむしろご褒美だと思っている。
きっと『セッション』の二人もそう。
だって『シーシュポスの神話』ってウルセーもん。だからどうした、敗北にだって価値はあるぞって思う。そもそも価値はそれこそ己で決めるものだ。ファッキンテンポだバカヤロウ。
「不条理な人間はよろしい、と言う」らしい。
(人生とは不条理だと知って尚理性でもって立ち向かうということらしいです。)
それは「努力」らしいけど、だったらわたしゃ怠け者でいいわい。
655321

655321