雷電五郎

ライトハウスの雷電五郎のレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
3.2
孤島に立つ灯台へ4週間の勤務を任じられた2人の男の話です。

簡単に調べるまで私自身この話が訴えたいことがよく理解できなかったのですが、着想を得た実在の事件に1801年に起きたトーマスという同じ名前の2人の灯台守の事件がシチュエーションや人物の設定のベースになっていることを知りました。
くわえて、台詞の端々に散りばめられた神話のモチーフがあり最終的には欲望のため主たる神から「火」を略奪したプロメテウスが罰せられるラストにいきつく寓話的な物語なのではないかと思いました。

任期である4週間で帰還するはずがいつ止むとも分からない嵐により何日、あるいは何十日と信用できない男ともに過ごさなければならない鬱屈と不信、老いたトーマスによるパワハラやモラハラ、度重なるストレスや疲労に蓄積する不満がギラついた性欲となりあらぬ妄想にはけ口を求める生々しさ。
特に性を感じさせる描写が多いのが特徴的でした。

灯台の光が女性とも炎とも見たてられ、理由は違えど禁をおかしてそれを奪う結末に神話的でありながらも人間的な生臭さを多分に感じる作品でした。

ただ、モチーフとなる事件にプロメテウスの神話などなど、これらの話を知らないと全く意味が分からない映画でもあり決して面白いと手放しで言える作品ではありません。言ってしまえば、神話等を踏まえないと結末に関しても意味がないからです。

主演の2人の演技や雰囲気の不気味さが非常に良かったのですが、もう一度観たいかと問われれば否です。
雷電五郎

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