ナツミオ

ナポリの隣人のナツミオのレビュー・感想・評価

ナポリの隣人(2017年製作の映画)
3.8
WOWOW録画鑑賞
親子の愛憎、心の闇と絆の再生を描いたイタリア映画の佳作。
原題『La tenerezza』
意味は優しさ。

主役のカルペンティエーリがイタリアの主要な映画賞の演技部門を独占受賞。

2017年イタリア作品
監督・脚本・原案 ジャン二・アメリオ
撮影 ルカ・ビガッティ
音楽 フランコ・ピエルサンティ
出演 レナート・カルパンティエーリ ジョヴァンナ・メッゾジョルノ ミカエラ・ラマッツォッティ エリオ・ジェルマーノ

イタリア南部の港町ナポリ。
弁護士を引退したロレンツォ(カルパンティエーリ)は、持病で入院していたが退院し1人住むアパートへ帰ってくる。彼は過去に愛人を作りそれが原因で妻を病で亡くし、それ以来、娘エレナ(メッゾジョルノ)と息子とは疎遠で不仲。入院中に隣に越してきた家族ファビオ(ジェルマーノ)、ミケーラ(ラマッツォッティ)夫妻と2人の子供達と知り合い次第に
心を通わせるが、ある事件が起きる・・・

衝撃的なある事件をきっかけに登場人物それぞれの心の闇が露わになってくる。
全般に暗い描写で、ナポリの明るいイメージと違う。

ロレンツォと娘エレナの関係を軸に描かれる絆。
過去の愛人問題から父と娘の関係は疎遠となり、妻であり母親を失った事がお互い自分に非があると思い続け親子の絆を失っていた家族が再生していく物語。

主役のカルペンティエーリの演技は無論良かったが、女優2人が良かった!
娘エレナ役メッゾジョルノ、横顔がジョディ・フォスターに似た雰囲気がある人だが、父親との関係に苦悩する演技が良かった。

また隣家の家族で最初にロレンツォと出会うミケーラ役ラマッツォッティも複雑な生い立ちで後半の重要な役柄を熱演。
角ばった個性的な美人で魅力ある女優さん!

近年のイタリア映画は初めて観たかもしれない。
アメリア監督はヴィトリオ・デ・シーカの元で経験を積んだ、言わば弟子。近年のネオリアリズモ作家とも呼ばれているとのこと。
寡作だが人間ドラマを描いた職人の他の作品も観たい。
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