【生きているから、生きる】
大杉漣さんの最初にして最後のプロデュース作品。
遺作にて俳優人生の良い締めくくりができたのではないだろうか、そう感じられるほどに素晴らしい作品でした。
音楽も一切なければ、ただただ教誨師と死刑囚が閉塞感漂う部屋にて会話をするのみ。
それだけなのに全く飽きさせない各出演者の演技力と脚本に乾杯。
本物のヤバい奴感を醸し出す演技と、
対話が進むにつれて各死刑囚が死刑囚たる所以が明らかになっていく脚本、どちらも本当に見事としか言いようがありません。
今まで粋がっていたのに、死が目前に迫ってきて死に怯える死刑囚を見て、少しの充足感とあらためて意識させられる死への恐怖が織り交ぜになるシーンに鳥肌が立ったことを覚えています。
途中いきなりファンタジーなシーンが雑に放り込まれていたのに少し冷めてしまったのが残念でしたが、
ぜひ劇場にて大杉漣さんに会いに行って欲しい、そして大杉漣さんの渾身の一作を目に焼き付けて欲しい、そう思える逸品でございました。