「オールワンカット」のように見える編集により臨場感が増していることに違いはないのだけれど、
どうやって撮っているのか、どの視点で観ているものとして考えれば良いのか、なぜこんなカメラワークが滑らかなの?今何時なの?など逆に没入感を阻害する邪念に塗れてしまい、
話の流れに置いてけぼりを喰らってしまった次第である。
同じ1日モノであるならば、正直いって「24」のような各自各地点の動きが見えるものの方がエンタメ力としては高い気もする。
さらに、スリル満点のドキュメンタリー映画風で、リアルな戦争体験に近づけているけれど、観ながらでもこれフィクションなんだよね、というこれまた別の邪念も生んでしまい、一人で勝手に「不気味の谷現象」に陥ってしまっていた。
リアルさを追求したフィクションなら、「オールワンカット」よりも「POV」の方が自分との相性が良いのかもしれない。
しかし、銃剣を持って塹壕から恐る恐る出て行く場面、敵陣地の塹壕に侵入する場面、また開戦間もなくという瞬間の塹壕の場面など、とにかく塹壕での出来事がとてつもなく素晴らしかった。
あの現場のままならない感じは確かにこの撮影手法でなければ、うまく伝わらなかったものだと思う。本当に良いものを見せていただいた。
恐らく私が伝令なら、途中で手紙を失くしているだろう。
これは私の実体験に基づく、よりリアルに近い予測である。