円柱野郎

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます


人の精神状態から"犯罪係数"を測定し、管理するシビュラシステムを導入した未来社会を描いたアニメシリーズの劇場版。
全3エピソードを3回に分けて公開した1作目。

このシリーズはTV放送(2012年)時から観ていて結構好きなアニメなんだけど、前作の劇場版は2014年公開なので本作は5年前ぶりの新作ということになりますな。 内容的にはその劇場版の1年後くらいの話だけど、久々に厚生省公安局の面々の活躍が観られるのは嬉しい。
キャラクターや世界観の説明がほとんどされないままストーリーは進行するので、完全にシリーズファン向けの作品かな。

今作の主人公は、シーズン2で“主人公に反発する後輩”という引き立て役だった霜月監視官。
視聴者のヘイトを集める役どころとしてよく出来たキャラだったけど、本作では主人公ということもあってか(キャラとしても成長した?w)そういうイラっとする面は控えめになり、跳ねっ返り気質は残しつつも応援したくはなる感じになったね。
執行官の宜野座は主人公のサポート役としてもアクション要員としても良いポジションだったけど、デカいパワードスーツみたいなのと正面から闘うとか、ちょっと超人化してる感じもするなw

それはさておき、内容的にはオチとして事件の裏にあった必要悪な面をチラつかせるあたりが、ちゃんと「PSYCHO-PASS」シリーズっぽくていい感じだったと思う。
ただ、全体的に展開が早いというか、捜査にしても捜索にしてもスルスルと話が進んでいくあたりはテンポが良すぎな感じも…。
尺が1時間しかないという部分もあるんだろうけど、もう少し相手の術中にハマって詰まったり迷ったりといった部分があっても良かったと思うんだけどね。
もっとケレン味が欲しいというか。

おそらく描かれていない障害も色々あったと考えられるんだけどなあ。
たとえば宜野座が相手に拘束された六合塚を救出しに行くシーンなら、霜月と作戦を話し合ったすぐ後には休出の場面が描かれていて、その間にあったと思われる敵の目やセキュリティをかいくぐったり移動したりするようなシーンはほとんど省略されている。
そんな具合に、作品全体としては"起承転結"はちゃんとあるものの、シーン毎には"起承結"で話を詰めている感じがしたのがちょっと物足りなさを感じるところ。

とはいえ5年ぶりの新作の第一話と思えば、最初に書いたように久々に厚生省公安局の面々の活躍が観られたのは嬉しいのです。
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