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チワワちゃんのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

良いところも多い映画でした。

ただ全体的に話の推進力が弱いかなあと思いました。チワワちゃんの殺人事件という1つ大きな要素があるのですが、それを紐解いていくわけではなく、チワワちゃんと周りの人々の話を散文的に描いていく。1本の幹となるストーリーがないので、どうしてもこの話はどこに向かうのかと焦点がボケていってしまう。少しずつチワワちゃんの人物像だったり、彼らの生活が浮き上がってくるのだけど、何か事件に繋がる明確な出来事が起きるわけではない。かと言って、登場人物が見続けたいと思わせるほど魅力的でもなく、どちらかというとみんななんとなくヤな感じがする。(それが悪いわけではないんだけども)
でもこの作品の良いところは、そういう明確なストーリーラインもない、登場人物の魅力でグイグイ引っ張ってくでもない中で、何か今本当にいそうな人たちの姿をそのまま切り取っているような気がした。そして、その時は決定的に過ぎ去って、もう戻っては来ないという感じは誰もが共感する普遍性だと思った。

あと時折ピリッとする良いシーンもいくつかあった。オープニングは物凄くアガったし、それが反復されるラストも良かった。(吉田志織さんの走るときの姿勢がめちゃくちゃカッコよくて、これだけでアクションとしての高揚感があった)
それと浅野忠信周りのシーン。カメラ撮影のときと、何かよくわからないけどチワワと対面してお互いのことを話すシーン。映画全体に暗い影を落とすシーンで良かったと思う。
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