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夜明けのすべてのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


『ケイコ、目を澄ませて』もそうだったが、劇中にその作品を象徴するような台詞が登場する。終盤のプラネタリウムでの最後の説明。「夜の時間があるからこの地球の外側の世界を知ることができた」これはそれぞれの境遇によって他者への想像力が働き始めるような本作のストーリーと重なる。また、他者への想像力を養うという意味で、映画を観る(何か表現を受け取る)という行為とも繋がるようにも思う。暗闇の中で光を観るという点では、夜空を観る=プラネタリウム=映画館と言える。

三宅監督は、やはり映画という表現手法にかなり意識的な作り手だと感じた。「映画は光と音から成る、いつか終わる流れていく時間を切り取った表現」ということを毎回意識させられる。『ケイコ』は音が重要な作品だったし、今作も光の作品でありまた音でしか登場しない人物(その時間には存在しないことが強調されるようだった)もいる。遠方の星から届く遥か昔に発した光や、人が入れ替わっていく職場の映像で否応なく時間の流れが意識される。そして、この映画という表現は限りなく人間の人生の断片にも似ていて、だからこそ毎回これほど心掴まれるんじゃないかとも思う。
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