気鋭の若手俳優をうまくはめ込んで、岡崎京子の退廃的な世界観を、うまく今に焼き直してたと思う。かなりよかった。
“ゴールドラッシュのように”現れて去っていき、そして死んだチワワちゃんこそが、彼らの青春狂騒曲のクライマックスでシンボルだった。
そのチワワちゃんの謎の死、、、は実はこの作品のきっかけに過ぎない。予告編は「パリピのお祭り、チワワちゃんの謎の死」で構成されるので、その謎が明かされていくかと思ったら、まったく明かされない。
描かれるのは、チワワちゃんが死んだ後のポスト青春/プレ大人の期間を生きる若者の様子。
それがなんというか…とても刺さった。
チワワちゃんの死の捉え方はみんなそれぞれだけど、まだ何者にもなれない空虚さがそれぞれににじみ出ていた。
さすが岡崎京子作品だし、監督はその空気をうまくスクリーンに落とし込んだと思う。
ただし、書いておかないといけないのは、別に感動というか盛り上がりがあるわけではないこと。サビで盛り上がるJ-POP的構成ではないので、評価は分かれると思う。というか一般的な評価は低くなりそう。
社会から乖離した感覚を持ったことがない人にも理解しづらいだろうし。
個別では、映像の撮り方が随所でおもしろくて、冒頭のお金盗んで走るシーンはまんまトレインスポッティングだし、セックスの定点カメラ早回しもおもしろかった。
若手役者陣もそれぞれ味が出ていて、
特にチワワちゃん役の吉田志織さんかわいくてアホでかわいくて、完全に無双してた。これで映画2作目の新人だっていうから驚き。