蟻子

チワワちゃんの蟻子のレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.6
こりゃまー確かにエモかった。大学生の頃に、こんだけキラキラと若さを満喫できたら最高ですよね。ここまでパリピ、陽キャじゃなくても。
監督が26歳と聞いて驚き&納得です。MVのような、カットが目まぐるしく切り替わる映像には苦手意識も少しありましたが、シリアスなパートとの緩急があって良かったと思います。あとエンドロールの写真がどれもいいねを押さざるを得ないような、魅力的な写真ばかりで最後まで魅入ってしまいました。
門脇麦は写真映えしますね。個人的になぜか全然好きじゃなくて、女優さんとしての実力云々とかじゃ全くなくて完全に個人的な好みの話なのですが。本編中は、輪郭の形がまじで可愛くないな…とかちょっと不幸に酔ってるような相手を小馬鹿にしたような声すら本当に嫌悪感しかなかったのですが、エンドロールは可愛かった。

成田凌のクズぶりも最高にハマってましたね。見た目だけでキャラクターを説明してしまうような存在感と説得力が凄い。


個人的見どころは浅野忠信との「好き好き大好き超愛してる」のシーンでした。インパクトといたたまれなさが凄い…!
何回愛の言葉を貰っても、それが空虚なものだから全然満たされないのだなと。本当に信頼関係が築けていれば「好き」なんて言葉にしなくても愛されている実感は得られるもんです。作り物感全開の演出からもチワワちゃんの満たされない心や境遇が伺えるし、19歳らしさも感じられるし、アホっぽいシーンながらかなり要素が詰まっていて象徴的というか、よく出来てるなーと感じました。
あと「チワワ」というあだ名を恥ずかしげも無く一人称にしているあたり、チワワちゃんというキャラクターの痛さ、危うさみたいなのを的確に表していて凄いなと思います。ヘルタースケルターと同じ作者さんの漫画なんですねー。

ミキが聞き取りをしていく形で各々がチワワちゃんとの関係を語っていくわけですが、誰かがめちゃくちゃ憎んでいたわけでもなく、めちゃくちゃ執着していた人がいるわけでもなく、そこが刹那的な若者達の関係をリアルに描いているなーと思いました。永遠に一緒にいるんだろうなと思える無敵の瞬間もあったけど、いつからかあんまり会わなくなって。死んだら悲しいけど、所詮は他人。友達が自分の将来の世話してくれるわけじゃないから、各々ひとりで立って自分の人生を歩いていかないといけないし。みたいな…。


誰がチワワちゃんを殺したのか?という答え合わせは敢えてせず、あくまで若者達の方に照準を当てて締めくくったのも良かったと思います。
それにしてもチワワちゃんほんと可愛かった。
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