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バーニング 劇場版のkaitoのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
4.0
映画の内容から話すと、かなり難しいので表面的な話からさせていただきます。途中からネタバレあり。

好きです。ユ・アインの演技はかなりよかったです。怒り・嫉妬など様々な感情を彼とともに映画の中で味わえた気がします。というのも映画がしっかり、彼の目線で進んでいたので場面ごとに変わる感情に素直に同情することができました。特に空港のシーン、本当に嫉妬しました笑 2時間半と比較的長めな映画でしたが、全く退屈することもなく楽しめた映画でした。


海外の人の反応を見るとよく「boring」なんて言葉を見かけるけど、全くそんなことなかったです。ただ原作が原作なだけに、かなり文学的な映画でした。メタファーが映画の中でばら撒かれていて、それを回収しながら観ていく作品ではあると思うんだけど、映画は本とは違って前に戻ることができないので、本質があまりうまく掴めてないのかもしれない。といっても、映画の中ではっきりとした答えが出てるわけでもないので自分の答えが正しいとも思えない。

ネタバレあり







展開が急に早くなったラスト。雪の中、ジョンスがベンをナイフで刺し殺す。なぜ、殺したのか?彼女の失踪にかかわっているということが分かったのか、ジョンスが彼女を求めすぎたゆえ自我をなくし、根拠もなく殺したのか。そして、犯人は誰なのか。

A.個人的には、ベンがヘミを殺したと思ってるんですが、実際のところどうなんですかね。もっと深いものがあるんだろうけど。
「時々ビニールハウスを燃やしているんです」ビニールハウス=女だとしたら、二ヶ月に一度、女性を殺しているという答えに至る。作中に出てきてない勝手な解釈になるけど、「ビニールハウスは中で作物を育てる場所。」「女性もお腹の中で子供を育てる」こういう隠喩だと思ったんだ。つまり、「ビニールハウスを燃やしている」は「女性を殺している」という解釈に至ったのです。
ほかにも理由はあります。ベンは「ビニールハウスは近すぎる」と言った。ヘミはジョンスのことを特別な存在だと思っていて、それにベンは嫉妬したという発言もある。ジョンスにとってヘミは近すぎる存在(特別な存在)。
そしてベンが放った「ヘミは煙のように姿を消した」っていうのもよく言う言い回しではあるものの気になる発言である。燃える→煙の関連性はここにあるだろうか?さらに、ベンの家のトイレには女性もののアクセサリーがたくさんあったわけで、2回目に訪ねた時にはアクセサリーが増えていた。殺した女性のものなのだろうか?
このようにベンが犯人であることを匂わせるシーンがたくさんあった。がしかし1つ気になる点が。ラストシーンのベンが言った「ヘミはどこにいるんだ?」という言葉。自分からヘミの居場所を聞くことがなかったベンがいきなりこんなこと聞くなんておかしい。もうよくわからなくなったので、一旦ストップ。

実際のところ、一体どうなんだハルキムラカミよ。面白すぎじゃねえか。とにかく、映画としてかなり好きな映画。光から闇に向かっていくある1人の青年の姿を見る、女性のためにひたすら走る男の姿を見る。それだけでも価値はある。

追記・「あると思うんじゃなくて、ないということを忘れる」
ヘミはもともといない存在で、ジョンスが頭の中で作り出した存在??
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