Kazu

ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺のKazuのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます



全てがバロック絵画のような美しい映像美。

だが、ストーリーはタイトルにもあるように悲劇、虐殺と結末が分かっている作品なのですが、

映画にでもならないと余程歴史に詳しい方でなければ知られない様な戦争や、虐殺はたくさんあるんだよ、

そしてそれらは今の世の中でも同じ行為が行われているんだよ!って監督は訴えたかったのでは?と思います。

155分と長めの作品です。

しかしそれは登場する人物の一人ひとりに命を吹き込み、民衆の暮らしがどんな生活だったかを観る側に丁寧に丁寧に教えてくれるための時間なのです。

特別な会話でもなく、家族がただ幸せを求め明るい未来に希望を抱く、
普通の何気ない会話なのですが、ラストがわかっているだけに一言一言が胸に突き刺さります。


ナポレオン戦争後、身も心もズタズタになり重い足を引きずりながら1人の若い兵士がマンチェスターに帰還してくるシーンから始まります。
彼は自国のため命を捧げ、やっとの思いで家族の元に安らぎを求めて帰って来た。

しかし帰還した家族の生活は困窮し、若者はまたも国に裏切られるなんとも痛ましい話です。

セント・ピーターズ・フィールドに集まった6万人の民衆は当たり前だけど、一人一人に命がある。

無抵抗である民衆をまるで口減らしのように、無能な政府は民衆を見殺しにするしか脳がない。

貧困や失業率を改善する策すら取らず、賄賂が横行する権力者の世界、腐り切った世の中は現代も何ら変わりはない。

広場に集まった民衆は平和的に参政権を主張する為に集まった。ただそれだけだった。

武器も持たず、石ころ1つ持つ事もなく、女子供も明るい未来のために広場に集まったのだ。

上映時間の大半を、彼等が生きていた証を残すかのように描かれています。

そしてラストの虐殺シーンに観る側の感情を一気にさらっていく、
名匠マイク・リーの演出が素晴らしく圧倒される映像美で悲劇を描いた作品です。


追伸
この世には神も仏もございません🙏
Kazu

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