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ビリーブ 未来への大逆転のkyokoのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.7
85歳でありながら今なお現役でアメリカ最高裁判事をつとめるルース・ギンズバーグの、若き日の姿と男女平等のために闘った裁判を描いた作品。

1956年、ハーバード法科大学院。まわりは男男男男男。男の波の間を縫うように小柄なフェリシティ・ジョーンズが歩いてくる。ただ彼女が歩いてくるこの始まりの場面がすごく良かった。
「ローグ・ワン」のときも思ったけれど、この女優さんは本当に魅力的だ。

優秀な成績で卒業したにもかかわらず、女性であるゆえに弁護士事務所での職を得ることが出来なかったルースはやむなく大学で教鞭を取り始めた。数年後のある日、夫マーティンが持ってきた案件に女性差別を是正するチャンスが隠されていることに気づいた彼女は、自由人権協会に協力を仰ぎながら、夫とともに裁判に挑む。

この夫がすごすぎる。
優秀な弁護士として多忙の身でありながら、育児も家事もこなして積極的に妻をバックアップする。「男は仕事、女は家庭」の価値観が当たり前のこの時代になんというミラクルな人。
ルースが後年も活躍し続けることができたのは、この夫がいたからこそだろう。(あまり好きではなかったアーミーハマーの好感度があがるほど。対してすごく好きだったジャックレイナーは、キャラのせいで今回はぜんぜん素敵じゃない・泣)
優秀な母親に対するコンプレックスと尊敬を抱く娘が、持ち前の芯の強さでルースを支える姿にもジンとくるものがあった。

終盤までは面白かったんだけどなあ。
「未来への大逆転」というしょうもない副題のせいもあるかもだけど(「ビリーブ」というスーパー安易な邦題はもう論外)、アメリカ憲法に対して私のスキルが低いせいもあってか、肝心の裁判のシーンがちょっと弱く感じてしまった。
「RGB 最強の85歳」を観たら、もう少し深く理解できるかも。

それにしても……ルース・ギンズバーグ関連の映画がたてつづけに公開される背後にトランプ批判の意図があるのは明確で、これも実はプロパガンダ映画なのかなあと思うとちょっとね。。。
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