コーディー

バハールの涙のコーディーのレビュー・感想・評価

バハールの涙(2018年製作の映画)
4.1
ISと戦う女性戦闘員部隊の想像を絶する現実に着想を得た真実の物語。

被害者のままでいる事へのこの上ない憤り。ごく普通の妻であり母であったバハールにこの哀しげな眼差しを強いた人の尊厳を踏みにじる慈悲なき蛮行。何度も犯された心を保つ最期の糧は女性としての尊厳を奪回する戦い。死の恐怖を越えた女達の覚悟に狂った過激派も恐怖する。

女性は拉致され性的奴隷として売買されるという惨い現実。この女性戦闘員らもそういった地獄を経験し逃れたにも関わらず再び最前線に戻る。恐れ身を隠すのではなく身も心も訓練し強さをもって復讐する。踏みにじられた女性だからこその尊厳を賭けた戦い、威風堂々に揺さぶられる。

彼女らの戦いに同行する片眼のフランス人女性ジャーナリストも含めモデルとなる人物がいるらしく映画とはいえリアルな現実としての緊迫は凄まじい。
夜な夜な涙を流しながらも戦場では弱さを微塵も見せない想像の及ばない信念に突き動かされた彼女達、痛みを伝え生き様を焼き付ける素晴らしい映画でした。