シノミー

アメリカン・アニマルズのシノミーのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
4.3
これも一種の青春なんじゃないかって観終わった後、ストレートに思った。
だって、犯罪を企てる彼らのすべてが、輝いていて、楽しそうで。
だけど、そのすべてが危険で、恐ろしくて、将来性なんて無くて、間違っていた。
そんなの誰にでもわかっていたし、
何度も葛藤して、迷って、だけど何かを変えたくて、このままじゃそれは一生叶わないまま。
それなりの代償やリスクを伴わなければ、成功や幸福は得られない。
この退屈な町からも、死ぬまで働く運命も、くだらない世の中も、変わらない。
「いつか死ぬんだぞ!」
このセリフが個人的に響いた。
大学4回の僕からすれば、将来のことしか考えられない。
そんな時期だった。
だけど、彼らは今だった。
後のことはわからない。ムショ行きかもしれない。そんなの最悪だ。お先真っ暗。
人を襲い、金目のものを盗む卑劣な行為。
そんなクソみたいな計画に加担した。
観ているこっちがハラハラするし、罪悪感も凄かった。
半分ドキュメンタリー映画で当事者たちが出てくるのもよかったし、それにより現実感が増した。
だけど、どうだろう、彼らの顔は絶望してはいなかった。
長い青春が終わったかのような、これから始まるかのような彼らは今も生きている。
真実の物語だ。
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