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⼗年 Ten Years JapanのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

⼗年 Ten Years Japan(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

オムニバス映画 以下の5本
①プラン75、②いたずら同盟、③DATA、④その空気は見えない、⑤美しい国

話としては星新一ショートショートみたいな近未来ディストピアSFで、細かいディティールのおかげで今の現実と繋がっているように思え、恐ろしく感じました。

良かった順に、⑤美しい国、①プラン75、その他同列でした。

⑤美しい国
舞台は徴兵制が始まった日本。徴兵制告知ポスターを作る広告マンとデザイナーが主人公。
「美しい国のために、できること」みたいなキャッチフレーズと「11月から徴兵制が始まります」みたいな文言は、凄いありそうだなぁと思ってゾッとした。。。特にキャッチフレーズの方は婉曲的な表現を使うんだけど、何かを確実に強制してくる感じ。デザインは割と地味目だなーなんて思ってたら、だんだんとデザイナーが込めた思いがわかってくる。でも木野花さん(デザイナー)が言ってたように、そんな段階にきてポスターに隠したメッセージを持たせても、もう遅いんだよね。木野花さんのポスターは却下されて、もっとあり得そうなマンガ風ポスターになっていて(このマンガも絶妙に古くて雑な感じがお役所っぽい)、キャッチフレーズも「あなたの友人や家族がもう戦場で戦っています」となりプロパガンダ具合が増してる。最後は主人公のアップで終わるが、自分の知り合いが巻き込まれて、漸くとんでもない状況にあることが一気にわかって愕然としているように見えた。でも身の回りで事が起きないと当事者意識が湧かないっていうのはよくあることだなと思ったり。でもそうなってからじゃ遅くて、本作で想定している時代より前である今行動を起こしていかないといけないと思った。
木野花さんが銃を構えてるのは愛しのアイリーンと被った。今回はゲームだけど。

①プラン75
舞台は安楽死制度が始まった日本。
こちらもディティールが怖い。
最初の告知CMがイヤな感じ。恐ろしいことなのにまるで良きことのように漂白してる感じ。
職員への説明で「富裕層と中流層はほっておけばいい、この人たちはお金を使ってくれるから。ターゲットは低所得者と障害者。この人たちは国が養わなければならないからです」みたいなこと言ってて、恐ろしいし怒りが湧く考え方だけど、最近議員とかお役所がこういうことを平気で公言するようになってきていて、国の考え方はこれに近いんだろうなと思う。
あと「今年から認知症の人は、本人の承諾無しに手続きできるようになった」と言ってて、こうして徐々に制度を変えて実行に移してく感じも本当にあり得そうな恐ろしいディティールだと思った。

作品全体に通じるところですが、説明し過ぎず、余白が多いのも短編ながらも深い味わいをもたらしてると思う。どれもそうですが、今後に希望を持たせてるようにも思えるし、非常に恐ろしい暗黒のラストともとれる。それは、要は観てる人がこれからどう行動するか次第ということなのだろう。
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