イホウジン

天国でまた会おうのイホウジンのレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
3.6
良くも悪くもハリウッド映画っぽい。

独特な鮮やかさのある映像の連続の一方で、裏テーマである「加害と被害の線引きの難しさ」が重くのしかかる。被害者が一変加害者になったり、一方的に加害者と断定したが実際はそこまで単純なものでなかったり、複雑な因果関係が映画の中で繰り広げられる。簡単な勧善懲悪の構図に収まらない点がよい。登場人物は比較的多く、それぞれに特徴的なキャラクターが備わっている。ここまで登場人物それぞれの印象が焼き付く映画もなかなかないだろう。
序盤の戦時中のシーンの特撮や仮面への拘りなど、細かいところまで丁寧に作り込まれている。映画の幻想的な世界観を硬軟織り交ぜて表している。

ただ、物語の世界の広がり方や心情が変化するポイント,やけに小綺麗な終盤の展開,ご都合主義なラストなど、過去に(特にハリウッド映画で)使われたような手垢のついた表現が目立ってしまったのが残念であった。重いストーリーを適度に軽くしようとしたのかもしれないが、既視感のある表現や展開ばかりだった。途中までの丁寧な展開の割にラストがだいぶ雑だった印象。終盤に発生した出来事の収拾をもう少し丁寧にして欲しかった。
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