ごろちん

沖縄スパイ戦史のごろちんのネタバレレビュー・内容・結末

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

沖縄戦で友軍が住民にスパイ容疑をかけて殺害していたのは周知の事実。この作品はその真偽を問うた作品ではありません。

前半は陸軍中野学校出の将校と少年達で編成した〝護郷隊〟の回顧録。後半は北部で起こったスパイ戦の真相。

NHKドキュメンタリーを観ている感じで、この調子で終わるのかな、と思い始めた残り40分。スパイ戦を目の当たりにした方々の証言から、次第に自衛隊の考察に推移。その切れ味鋭い展開に自分の身体もいつの間にか前のめりに。

この作品の秀逸なところは、丹念な取材と数々の生々しい証言から、最終的に大きなテーマに辿り着く点。監督がジャーナリストだけあって、真相を嗅ぎつけたときのスピード感と追込み力はさすが。


ただ、これは個人的な意見ですが、姿を露呈した真相に対して懇切丁寧なナレーションは必要だったのだろうか。

例えば、原一男監督の作品は取材から見えてきた真相については多くを語らない。それはたぶん観る側が咀嚼し考えなければならないから。

噛み砕き過ぎた解説は観る側の思考を停止させ洗脳させる。良質なドキュメンタリー映画でもプロパガンダ映画というレッテルを貼られかねない。

体験者の証言には真摯に耳を傾け、作り手のイデオロギーが垣間見れるナレーションには自分の感情、思想と常に対比して聞く姿勢が観る側にとって大事だと思う。
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