こもり

記者たち~衝撃と畏怖の真実~のこもりのレビュー・感想・評価

3.8
全米中のメディアが政府発表(イラクに大量破壊兵器がある!国を守るためにイラクに侵攻しよう!)に追従する中、唯一 反抗した地方新聞社ナイトリッダーの記者たち(ジェームズ・マースデン)(ウディ・ハレルソン)(ロブ・ライナー)(トミー・リー・ジョーンズ)の仕事ぶりを伝える社会派ドラマin米ヴァージニア州、ワシントンD.C.、アフガニスタン・トラボラとか、2001年9月11日-2006年 実話系
🙂国中のメディアが誤った情報を発信し好戦的な世論を作り上げ挙国一致的に戦争に向かっていく、その勢いの苛烈さと 戦争を始めた結果犠牲になるのは誰なのかを明示し、高度な文明社会における記者(&市民)の果たすべき責任や 開戦の決議を軽率に取る危険性が説かれてる
🙂政府が報道の内容を直接検閲しなくてもメディアが売り上げを伸ばすために自主的に政府の見解におもねる報道をし始めるというなんだかどこかで聞いたことのある状態に陥ったアメリカが、国際社会を巻き込んでなんの意味もない戦争を始めちゃったって………なかなか信じがたい話よね...……
🙂最初から最後の最後まで何ひとつ希望がないけど、アメリカのイラク侵攻に留まらず、政治家と報道と市民の関係について 民主主義国家における報道のあり方について広く深く考えさせられるよくできた映画だった……
🙂ディックチェイニー氏を中心にしたリベラル臭がはちゃめちゃ鼻に付く社会派コメディドラマ『バイス』とセットで観ると政治家の視点(効果的なプロパガンダを作るために市民調査に励むなど)も加わってより良さそう
要予習映画(イラク戦争、ベトナム戦争、ニクソン大統領の退陣についてのあらまし) イラクの俗人フセインとサウジアラビアのイスラム教原理主義者ビンラディンが結託した証拠 イラク人死傷者100万人、発見された破壊兵器0個 最後に記者たちの本人映像あり "shock and awe"(衝撃と畏怖,2003年アメリカのイラク戦争時の軍事作戦名)
「(国防総省は)中東に民主主義を植え付ければたちまちイスラエルの味方になると思ってる」、「爆弾を落とす前にベトナム戦争の教訓を思い出すべきだ 政府の失敗は兵士が購う」、軍に志願した息子にママ「アフガニスタンがどこか教えて」「パパにベトナムがどこか聞いた人はいた?」、「(NYタイムズは)プロパガンダよ 官邸と国務省と国防総省の発表を載せてるだけ 新聞じゃない」、ユーゴスラビア出身の奥様(ミラ・ジョボビッチ)「愛国主義によってユーゴスラビアはバラバラになった」、「いくら真実を報道しても彼らは止められない」、「我々はナイトリッダーだ 我々には軍の基地のある町に読者がいる~もし他のメディアが政府の広報に成り下がりたいならならせとけ 我々は他人の子を戦争にやるものの味方じゃない 我々は我が子を戦争にやるものの味方なんだ 政府がなにか言ったら必ずこう問え"それは真実か?"」、「私はトンキン湾決議に賛成しました 大統領に軍事力を行使する権限を与え、共産主義勢力による攻撃を防ぐためでした この決議がベトナム戦争の始まりになったのです その結果5万8千人の米兵が死亡したのです この虐殺から我々が学んだのはトンキン湾決議が誤った情報を基になされたことです 歴史は繰り返すのです モール地区にある戦没者慰霊碑に行きなさい 毎日誰かが愛する人のために泣いているでしょう モース議員は言いました"決議が通った後は後悔しかできない"と」(バード議員の戦争反対演説、2002年10月10日)、「高度な文明社会とは報道の誠実さと明晰さの重要性を意識的に尊重できる社会であり、報道の内容が正確かどうかに疑いを持てる社会です」(ストーン報道の自由賞ジョン・ウォルコットのスピーチ、2008年7月24日)、「我々には世界を知る手段が必要です 何が起こっているのか何が真実かを知ればイラク戦争のような過ちは避けられるのです」、"多様で独立した自由なメディアこそ米国の民主主義にとって重要だ"——ホワイトハウス広報官ビル・モイヤーズ