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魂のゆくえのkabcatのネタバレレビュー・内容・結末

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

事前情報なく観始めたのだが、まずは静かでストイックな映像に目を奪われ、構図の美しいショットの数々に見惚れる。古いヨーロッパ映画のようだなと思っていたのだが、あとで監督のインタビューを読むとカール・ドライヤーや、ロベール・ブレッソン(牧師の日記、という体裁からも自然と思い浮かぶ)タルコフスキーへの言及があり、なるほどと思う。ホラー映画ではないのだけれど、なぜかゴシックホラーを観ているような気分にもなる。

歴史ある古い教会を1人で守る牧師の話という、最初は地味であまり興味をそそられない内容なのだが、彼を取りまく人々との関係から次第に宗教に対する疑問と不信感が高まり、クライマックスに至るまでの過程が緊張感を持って語られ、手に汗にぎる展開となった(そのへんがホラーっぽいのかもしれない)。終盤になると次第に幻想的になるが、それは主人公の精神状態を反映しているのだろう。ということでエンディングは彼の妄想だと思う。教会の扉は鍵がかかって外からは開かない(そしてその点が強調されていた)し。

監督が『タクシー・ドライバー』の脚本家と知り、ああ、この作品は21世紀の『タクシー・ドライバー』なのだと思いました。

イーサン・ホークはこの難しい役を好演している。彼もいい感じに枯れてきた。かねてより彼は共演女優を輝かせる才能を持っていると思っているのだが、今回もアマンダ・セイフリードがとても魅力的に見える。彼女の演じたメアリーは、ルックスの華やかさではなく、人間として惹きつけられる女性でした。
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