イホウジン

魂のゆくえのイホウジンのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.0
途中までは良かったが、ラストが微妙。

「環境破壊」と「信仰心」が重要なテーマとなっていて、“神の創造した土地”を我が物顔で破壊していく人間の愚かさに気付かされた牧師が病んでいく様は見事。洗練された言葉や行動の連続で、みるみる世界観に惹き付けられる。登場人物の数はかなり少なくされた分個々人の考え方の違いが明確になっており、時に共感し時に反発しあう人間模様が面白い。どうしても映画の中で提示される命題については「私だったらどうする?」と考えてしまう。登場人物たちの葛藤とそれぞれの答えには理解せざるを得ない。
終盤の緊張感がとても良い。ともすれば激しい音楽と流れるような映像で表現されそうなシチュエーションだが、そこをあえてゆっくりとした不協和音と滑らかな映像を使っていくことで、主人公の最後の最後までの心情変化がこちらにも伝わるようになる。

ただ、最後の最後がひたすら残念。急に映画のジャンルが変わったような印象で、腰抜けだった。まあ確かにあれは“答え”の一つだけど、あそこまでやっといて随分と雑なものを最後に持ってきたものだ。良くも悪くも今までのストーリーが全てチャラになった感じ。
話の冒頭も分かりにくく、全体像を掴むまでにとても時間がかかった。あまりにも単調すぎて思わず眠気が来てしまった。
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