乃木介

孤狼の血 LEVEL2の乃木介のレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
2.5
序盤はまだ見れるんですけど、以降は「ん?」となるシーンだらけ。

鈴木亮平のずば抜けた演技力以外に、映画としての見どころがない。
絵力のある構図のカットは少ないし、なんか意味深に思わせて何もないシーンとか。特に後半は「そのカットいる?」と感じる事が多かった。

途中まで鈴木亮平演じる上林の猟奇的な行動が続いて「どう終わるんだろう」という期待で見れたけど、裏を返せば上林の猟奇的な行動以外に映画の魅力がない。

上林が人を殺すシーンが強烈なので、それ以外が霞んでしまう。
かといって映画全編でそれを使うと見る側が飽きるので映画としては前半しか使えない。というか前半だけで多すぎたくらい。「またこの殺し方ね」と。

なので映画として上林の猟奇的な行動以外にもう1つ魅力が必要なんだけど、それがない。なので後半見ててダレた。上林をフィーチャーしすぎたとも言えるかも。

あと全体的に荒削り感がある。
序盤の取調室でのシーンはBGMで面白おかしい雰囲気だけど、作中でここだけなのでなんか浮いてる。他には後半で思い出したかのように入るナレーションや、上林の回想シーンとその導入部、吉田鋼太郎が鴨居に頭をぶつける直前のわざとらしいカメラワークなど。上林の回想シーンとその導入部はツギハギ感も感じた。

照明も微妙。上林がシャツを着るシーンの照明は固くて「スタジオで撮ってます感」が出過ぎ。暗い所の日岡の顔のカットでキーライトが後ろすぎて、顔の輪郭ばかりに目が行く。

登場人物の描き方もうすい。
上林がなぜあの殺し方をするのか、なぜあの記者がああ動いているのかなど各人物の動機、原因、バックボーンの描き方が弱すぎるので、ストーリーを次に進めるためや刹那的な面白さを表現するためのコマになってしまっている。思いつきに近い。

ラストはひどすぎて自主制作映画並みのクオリティと意味不明さ。
作りながら考えて悪い方向に転んだ作品という印象。話は悪くないけど見せ方が悪かった。
乃木介

乃木介