ぎー

孤狼の血 LEVEL2のぎーのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
3.5
【白石和彌特集5作品目】
・シリーズ1作品目に引き続き広島を舞台にした任侠映画であることは変わらないし、エログロの刺激が大きいのも変わらないけど、作品の本質的なテイストは大きく変わった。ぶっちゃけ、映画としては面白かったけど、大袈裟に言うともはや白石作品じゃないって感じの映画だった。偉そうなこと言うと、商業的な匂いがした。特に後半はアクション映画だったな、1作品目が『アウトレイジ』と『仁義なき戦い』の良いところどりみたいな映画だったのと比較すると、より『アウトレイジ』っぽい映画だった。色々言ったけど、ぶっちゃけ滅茶苦茶面白いんだけどね。
・エログロは相変わらず有効活用されてるんだけど、白石監督らしい人間の底のゾッとするような表現が少なかった気がする。だから、ぶっちゃけ終盤は描写は残酷なんだけど、全然怖くなかった。
・鈴木亮平の演技がエグすぎる。マジで怖かった。本当に天才だと思う。鈴木亮平の演技を見るだけで価値がある。
・まさかの西野七瀬。びっくりした。くっそ可愛いし、演技頑張ってた。気がする。
・斎藤工とか、寺島進、宇梶、吉田鋼太郎、中村獅童、とにかくキャストが豪華。
・やっぱりキモい嫌な上司役は遠藤賢一が日本一。

※以下、映画の内容について
・なんで県警本部のお偉いさんの嵯峨管理官は日岡に対してあんな上からいけるん?弱味握られてるんじゃないん?
・日岡の相棒のボーッとした定年間際の刑事は多分裏切るだろうなって思ったら、裏切った。元公安やで。堅物なわけないやん。
・広島仁正会の幹部の面々は上林をちゃんと罰しろよ。幹部殺されてんやで。凌ぎも奪われて。そんなんで成り立つ暴力団組織なんてあるんかね。
・二代目五十子会の会長夫婦の殺され方はヤバかったな。上林の全く容赦しない感じがこの映画の圧倒的魅力よな。こんな殺され方しても、寺島進はイケオジだったな。
・なんか勘違いしてる先代の嫁をあっさりと射殺したのも、もはや気持ち良かった。
・この映画はとにかく上林に尽きる。上林の存在感が大きすぎて、日岡の影が若干薄くなったことが、もはや逆に映画の魅力を下げたんじゃないか、って思うくらい存在感が大きかった。人間性のかけらもない。なのにどこか筋は通してるような気がして、訳がわからなくなる。とにかく残虐。非道。斬新な登場人物だった。
・スパイにさせられてるチンタがとにかく可哀想。上林にスパイなんて絶対に無理。しかもこんな純粋そうな男が。
・尾谷組の組長代行は滅茶苦茶ヤワな男だったな。一方で斎藤工が演じてた若頭は良い味出してた。
・西野七瀬が演じたチンタの姉は、西野七瀬が演じてるってことと、その水商売っぽく無さから、危うさが漂ってて、彼女がなんかされちゃうんじゃないかっていう怖さで映画に緊張感を与えてた。
・あの頼りないチンタにスパイであることを隠すためとはいえナイフで刺させるのはかなりリスキーだったな。刺しどころが悪ければ、っていう説もあったろうに。
・いきなりのピアノ教室殺人事件は衝撃だった。上林の狂気っぷりはこの一件でも十分に伝わってきた。
・確かにあんなにテキトーな殺しで上林を逮捕できないってのはあり得ないな。とはいえ、日岡の力を削ぐためって言ってあんな大量殺人鬼を逮捕しないで野に放しとくなんて判断、まともな人間ならできないと思うけどね。
・それにしてもなんで上林はそんなに五十子先代に忠誠誓ってるの。大した漢じゃなかったけどね。
・上林が1番ヤバかったのは内部抗争ん時。自分の組織の会長の目の前で幹部殺してっからな。あり得るんかね。
・上林はしかもただの気狂いじゃなかったってことか。チンタがスパイって知った上で鉄砲玉やらせて、偽の情報を警察に流させてたんだもんな。怖すぎるな。
・公の場でヤクザが警察ボッコボコにするとか、あり得るんかね。マジで上林はやりたい放題やな。
・日岡が元公安定年間近刑事を信用しちゃうのはしょうがないとして、昔の五十子殺しの件を話す必要はあったんかね。
・あんなドンパチの戦争、上林と日岡の死闘。ラストあたりは完全に『アウトレイジ』だったな。
・日岡が上司の嵯峨の銃で上林を射殺する終わり方は良かったと思うわ。
ぎー

ぎー