りっく

真実のりっくのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
4.0
フランスの大女優としてのドヌーブ、劇中で演じる母親としてのドヌーブ、そして劇中劇で演じる大女優としてのドヌーブと、3つのファクターがほぼイコールで重なり合った強固なドヌーブ映画。

是枝裕和はそんなドヌーブのパブリックイメージを戦略的に利用し、母と娘を中心とする家族の物語を紡いでみせる。凝り固まった心が解きほぐされ本音のようなものがこぼれ落ちる瞬間や、本心で相手と向き合う場面は実に感動的だ。

さらに是枝監督はスクリーンの内と外が相互に影響し合い生きていくしかない女優というわがままな生き物の「しょうがなさ」を尊敬の念と共に見つめる。そんな眼差しの先には国境を超えて盟友・樹木希林の存在と、共に過ごした記憶をも意識しているように感じざるを得ない。
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