“井ノ原さんも捨てがたい”
ポンコツだけど誰にでも世界で一番優しい大家族の長男
町田君と、母の不倫スキャンダルがコンプレックスで学校サボりがちの美少女井ノ原さんが織りなす脱力系青春ラブコメディ。からのSFだったりする。
久々の石井裕也オリジナルの監督&脚本という事もあり、初期の脱力コメディタッチ全開な内容が好印象。
町田君のぼーっとしてて、キラキラしてて、どこまでも優しくて、根本にガッツがある性格が後半に進むにつれ、良い感じに爆発していく。
ヒロインの井ノ原さん演じる関水渚が本作が初映画出演という初々しさと、角度によってだいぶ印象が変わる独特の表情や喜怒哀楽がパワフルで良い。恋のモジモジが貧乏ゆすりで出ちゃう感じが面白かった。
二人のクラスメイトでクールな女子校生役の前田敦子が想像以上に良かった。正直、彼女の演技をちゃんと見るのは本作が初めてだが、コメディエンヌとしての勘の良さがあったと思う。いい意味で元トップアイドルとは思えない演技力!
かなり脇役が豪華で、町田君のお母さんが松嶋菜々子だったり、池松壮亮と戸田恵梨香が夫婦で共演してたり、EXILEの岩田くんや高畑充希が同級生役をやるなど、興味深い配役も注目。普通、この脇役たちが主役の恋愛映画の方が商業ベースだよね?何か潔いなあ(笑)
町田君の天然ボケのような哲学のような、あるいは詩人のようなセリフの数々は笑えるし味わい深い。観終わると、なんだか一本の映画の中で様々なジャンルが詰め込まれていたけれども、その中核に町田くんがいるとなんだか中央に収まる。
初めの10分でこのギャグセンスと青春の蹉跌が許容できるなら、ずっとツボに入ったまま心地よく本作を完走できると思う。
爽やかで楽しい、誰も傷付かない良き映画だと思います。