回想シーンでご飯3杯いける

スマホを落としただけなのにの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

2.5
本作に限った事では無いけれど、日本のテレビや映画では、日本人のネットリテラシーが凄く低く見積もられている場合が多い。例えばアメリカ映画「サーチ」なんかは、誘拐された娘を探す父親のPCスキルやネットリテラシーが当たり前のように高く描かれていて、その様子が「おもしれー!」ってなる訳なんだけど、本作の主人公であるカップルはリテラシーがとても低く、面白さよりもあほらしさが前面に出てしまう。

そもそも本作のカップルに訪れる災難は、冒頭のクレジットカード不正利用を除けば、端末(スマホ)を落とした事と直接関係ないのだ。SNSの乗っ取りなんて、端末を盗まなくても出来る。そういう意味で「スマホを落とした"だけ"なのに」というタイトル自体に偽りありで、実際はセキュリティー意識ガバガバのパスワード設定や、拾った犯人が黒髪フェチの変質者であった事の方が、本作に於ける「怖い」の本質なのだと思う。

その犯人の描き方も浅い感じだし、北川景子って演出強めのサスペンスやアクションのイメージがあって、本作のような普通に起こりうる災難が全然似合っていない。それからサスペンスで○形をトリックに持ち込むのは反則だと思う、特に映画の場合は。

ただ、これだけボロボロの設定とキャストながら、それでも何となく「スマホ落としたら怖い」という感想を持ったのも事実で、その辺りは中田秀夫監督がヒットメイカーと呼ばれる所以なのかと、変に感心してしまった。

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