このレビューはネタバレを含みます
ティモシー・シャラメの出演作ということで、Amazonプライムビデオで予備知識なしに鑑賞しました。
序盤〜中盤辺りまでは正直退屈だなと思っていました。
ドラッグはやめた、本当はやっている、今度こそやめるの繰り返しで、何故急にやめれたのか、急にやるのか理由もわからず。
しかしこれが繰り返されることによって、これは父親視点から見た息子のリアルな状態に近いのではないかと思い始めました。
最初はやりたくもないサーフィンをやろうだのうるさい父親だな、とニック視点で見れていたのが、ストーリーが進んでいくに連れ「何故やめると言ってるのにまたやってしまうのか?」「何故逃げるのか」「もう何を言っても無駄じゃないか」と変わらないニックにお手上げ状態になっていく父親に感情移入をして見ている自分がいました。
同じことの繰り返しで(映画として)つまらない、と感じていくのはこの映画に至っては正解なのではないかと思いました。
現実には起承転結などなく、きっと薬物依存の本人も近親者も同じように感じているはずだと。
一視聴者としては父親なら諦めるなと思ってしまいますが、介護と同じように当事者でないとわからない問題なのだと思いました。
(とはいえ父親も厳格すぎて、ニック的にはずっと息苦しかったのではないかと思います)
たまたま運良く生き残ったから良いものの、死んでいた可能性もあるわけで…
存在を否定せずにいてあげることだけが唯一の方法なんでしょうかね。
日本では薬物禁止なので身近な話ではありませんが、アメリカでは重要な問題だということが示唆される最後の一文でグッときました。
この映画でティモシー・シャラメを起用したのは良かったと思います。
認知にも繋がりますし、何より演技がとても上手かったです。過剰摂取で世界が歪んで見えるところは見ていて不安になりました。
振り幅がある素晴らしい俳優だと思います。
ティモシー・シャラメファンならもちろん、社会問題として誰もが一度は見るべき作品だと思いました。