タイレンジャー

ランボー ラスト・ブラッドのタイレンジャーのレビュー・感想・評価

4.0
スタローン、御歳73歳にして人間兵器ランボーを再びを演じるという、もはや無謀としか思えない企画が実現しちゃいました。大丈夫かよ?

しっかし、これが良かった!

事前の不安を吹っ飛ばす快作でしたねぇ。

今回のランボーは時代劇『必殺』シリーズっぽいです。
何がって、まずは映画の構成ですよ。

善良な庶民が悪党によって虐げられ、ズタボロにされて、彼らの恨みを晴らすべく殺しのプロが立ち上がって、最後は成敗アクション、というのがいかにも『必殺』っぽいんですよね。

だから悪党がやりたい放題する展開が中盤以降まで続いて、アクションらしいアクションになるのは終盤のみです。それまでは理不尽な悪事に耐えて耐えて耐える展開が続きます。

なので、従来のシリーズに比べるとアクションの分量はかなり減ってますし、規模もコンパクトになっています。今回は戦争、紛争レベルではなく、あくまで庶民の危機というスケールに落とし込んでますから。

これはスタローンの老いに応じて、話をいくらか現実的なレベルにアジャストした結果だと思いますが、『必殺』のテンプレートがうまくマッチ。
(または西部劇風とも言える)

で、一見するとランボーが悪を成敗する勧善懲悪のように見えるんですが、仕事人(ランボー)もまた司法を無視した裁きを下す殺人マシーンですからね。毒には毒を、ということです。間違ってもランボーが正義のヒーローだと思って観ぬよう。

あとはもう一つ似てるなと思ったのがサム・ペキンパーの『わらの犬』(1971)。これも構成が『必殺』風なのと、音楽の使い方なんかも。

血みどろで超暴力的な内容なので、ランボーの成敗が炸裂する終盤はほぼスラッシャーホラーです。1作目のような精神性は遥か彼方。もはや別物と割り切って狂ったジジイによる大殺戮を楽しむべし。