ちぇり

永遠に僕のもののちぇりのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
4.3
アルゼンチンで実際に起きた連続殺人を基にした映画。「天使の皮を被った悪魔」と呼ばれたサイコキラーの美少年の物語。

主人公のカルリートスは、敬虔な両親にも愛されていたし、彼女もいたし、悪友ではあるが親友のラモンもいたのに、いつもどこか満たされない。強盗と殺人を繰り返し、金品を得ても満たされない彼が本当に求めていた物はなんだったのだろうか。そんなことを考えてしまう。何を得られれば彼は満足したのだろうか。彼に足りなかったものはなんだろうか。この世の何も、彼を満たすことなど出来なかったのかもしれない。だって彼は神から地上に遣わされた天使《スパイ》なのだから。

主演の俳優が今作がデビュー作ということにも驚きだが、逮捕された本物の犯人が俳優に負けず劣らず本当に美少年なのにもびっくりした。本当に、美と死は近しいものなのかもしれない。危険な美しさ、その闇の深さを感じる。

サイコパスやシリアルキラーは幼少期の家庭環境が悪い場合などが多いが、彼の場合は両親はとても真面目で良い人たちなのでなぜ彼がそこまで残酷な殺人鬼になったのか分からない。でも彼は人を殺すことが目的なのではなくて、単に人を殺すことに躊躇いがない、邪魔だと感じたら何も思わずに殺してしまうと言った感じで、真のサイコという感じがした。殺人に快楽や愉悦を覚えると言うより、単に息をするように、殴ったり蹴ったりするのと同じレベルで銃を放っているように感じた。

彼が同性愛者であったどうこうの話にも少し触れられていて、劇中でそれについて詳しく言及されることは無かったが、親友であったラモンに対しての友情以上のどこか執着じみたものが存在したのは確かだと思う。
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