このレビューはネタバレを含みます
ライリー・ノースって主人公の名前か。なんだか良くも悪くもないアクション映画だった。ジェニファー・ガーナーはめちゃくちゃ頑張っていたけどなんかいろんな要素がヌルヌル流れて行ってしまう。
本当にガーナーの見事な体技を見せるためだけに作られたような映画で、それ自体は悪くないけど、それ以外は本当に薄味。中途半端にまとまってタイトではあるもののそれゆえにツッコミどころも地味でそれを楽しむような大味さもない。
家族失うシーンのショッキングさも中途半端、敵を殺すときのゴアも中途半端。近接格闘と射撃を組み合わせたクラヴマガの動きは面白かったけど。あと警察に早めの段階で正体がバレてしまっているのが殺人マシンものとしてはダサかったな。顔変えるくらいの事しないのかよ。
たった5年で普通のお母さんが殺人マシンに変わるってどうやったんだろうとそこが一番気になっていたのに描いてくれないのか。残念。
そういう設定だからと割り切られたらそれまでだが、フィクションライン低いなりの説得をして欲しかった。一体どこに行って何を学んできたのか。
あんなに機材もどこでそろえたのか。そしてあのスラム街でどんなことをしてどんな人間関係を築いたのか。
面白くなりそうな部分がだいぶカットされている。いちど助けてあげた子供たちとの交流で娘がいない喪失感を強調することだってできただろうにそこもシーンとしてあるだけで活かされないし。
せっかくの面白要素を描かないくせに上映時間100分越えは長すぎる。そこカットするなら88分くらいでいけるだろ。
敵も地味だし、特段強い人いないし、盛り上がらない。
特にあの麻薬王の小物感は何なのか。せめて強い用心棒キャラとか入れて欲しかった。実は裏切っていた汚職警官の設定もどうでもよすぎる。
後半ただ単に逃げ延びようとして撃ち殺されるだけだし。
ちょっと上手いなと思ったのは冒頭でライリーの娘のカーリーがいじめっ子を殴ろうとしてライリーがそれを止め、
「馬鹿を殴ると馬鹿になるわよ」といさめる場面。あそこで復讐の虚しさや相手と同じ立場におちてしまうことの危険性は示唆していた。
でもやっぱり復讐はした方がいいよね。少なくとも映画の中では。
ライリーのやったことを支持するSNSの声の描き方とかでちょっと『デスウィッシュ』を思い出したけどあっちの方がバイオレンス描写も豊富だし、テーマをしっかり掘り下げていたと思う。
ただラストの浦沢直樹のモンスターみたいな終わり方は割と好きです。