とし

CLIMAX クライマックスのとしのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
4.1
どんな夜にも、クライマックスはある。

乗りこなしてパッキパキ、呑まれてどろっどろ。思い返せば、あそこだというワンシーンはきっとある。ぐびっといき、肴をつまみ、音と光を全身で浴びる。踊り、熱を持つ。チルアウトし、世界と自分の位置を確認。もう一杯いく。アレをする時だってある。その夜、心と身体が一番喜んだ時や、一番荒んだ時間は、脳の底にずっとちゃんと転がっている。

映画は「タイトルで始まり、エンドクレジットで終わるもの」。ギャスパー・ノエの前ではそんなフォーマットもぐにゃりと歪む。22人のダンサーが織りなす、真っ赤な薔薇の開花のような、獣の雄叫びのような圧巻ダンス。これを観るだけで元が取れる。お釣りは使わず大事にとっていたい。ダンスの目撃こそが、クライマックスだった。あそこが私にとってサングリア飲み干した瞬間だった。

悩んだ結果、夜8時のシラフで臨んだけど、濃縮なのブッ込まれて完全にキタ。1日の疲れも手伝い、ふわりと数センチ地面から浮いたような気分。ナチュラルハイから後半はややBADに入った。映画観てラリっちゃうなんて初体験過ぎて心底ビビった。いつもの映画館だって、少し蝕まれたドープな空気で充満。みんなどんな顔で観てたんだろう。

快楽と暴力が共存する魔界をフラフラと彷徨っても、必ず朝は来る。何事も共犯関係でいてくれる、あなたに勧めたい。
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