織田

左様ならの織田のネタバレレビュー・内容・結末

左様なら(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高の青春群像劇でした。最愛と言った方が適切かもしれない。

『14歳の栞』というドキュメンタリー映画を観て、2年6組35名のありのままの姿に感動したのは一昨年のこと。これほど一人一人の生徒と向き合った映画があるだろうかと思っていましたが…ありましたよ…!大好き。

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他界した友人を失った主人公のお話だけれど、基本的には所謂スクールカーストとか呼ばれる、学校でのポジショニングが象徴的に描かれている映画だと思う。

クラスという集合体での立ち位置、もう少し小さいグループでの立ち位置。学校生活をおくる生徒たちにとって、それは凄く神経を使うもの。
結花というクラスのボス猿は、心に巣食うやっかみを攻撃的な形で表現する。
誰が誰を好きだとか、あいつのくせに調子に乗ってるだとか、こいつだったらハブにしてもいいだとか。

観ている私はそれを虚しいと、ガキだなと思う。たぶんクラスメイトの多数も思ってる。でも指摘しないし反抗しない。そうしたら主人公のような運命を辿ることは目に見えている。


さらにこの映画の凄いのは、主演が芋生悠、祷キララである一方で、生徒ほぼ全員のクラスでの振る舞い方を映し出している点。(それが可能なのはハブられている由紀とハブきの首謀者である結花に説得力があるからで、芋生悠と日高七海が素晴らしい)

特に印象的なのが中心グループ4人組の中にいる愛美という女子で、その行動、言動は彼女が4人組の"4番目"に相当する現実と苦悩を如実に表している。
私の高校時代のクラスにも愛美と全く同じように見えた子がいた。あくまで外野から「見えた」だけなので本人にそれを言ったら不本意だと思うが、マジで愛美というキャラクターには既視感しかなかった。


ボス猿の結花が存在感を放つあのクラスでは女子の多くがひりついた空気を醸成する一方、男子たちは割と平和だった。
ただ「男子はそういうのないもんな」で終わらせられるほど、現実の野郎どももお花畑じゃない。
女子と「楽しそうに」(ここ重要)喋ってたらネチネチと突っ込まれ、あらぬ噂を立てられるし、テストの点とかスポーツとか、いくらでもやっかみを受けることはある。攻撃手法としては無視とか叱責が多い。

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クラスの中心で高校生活を謳歌していた立場よりは、周辺から客観的な立ち位置にいた人の方が楽しめる作品かもしれません。素晴らしかったです。


🔽感想です(ネタバレあり)🔽
https://eigakatsudou.com/archives/sayounara.html
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