ペンソー

すべての終わりのペンソーのレビュー・感想・評価

すべての終わり(2018年製作の映画)
3.8
久々にNETFLIXオリジナル作品の予告で観たいと思う作品だったので観賞。

T・ジェームズ主演、F・ウィテカー共演のディストピア系ロードムービー。

まず思ったことは、トレイラーの構成が非常に上手だということ。
本編とはかけ離れたトレイラーだけど、まずは再生ボタンを押させることが重要だという点を押さえたトレイラーだったと思う。

原因不明の災害により突如としてディストピアと化すアメリカを舞台に、婚約者を探すために大陸を横断する主人公と義父。
その過程で現れては消えていく登場人物たち。ロードムービーらしく、その場限りの出会い、再会も深くは掘り下げず、パッと現れては消えていく。
ディストピアの中で生きる人間たちの無情な感じもよく表現されていて良かったと思う。

物語の展開から、主人公たちは真相を知る状況にいないことが分かるため、わざわざラストに言及する必要はない。
生き残ることに全てを懸けている彼らにとって原因はさほど重要ではなく、生き残れるかどうかが問題となっているので主題をズラさないためにも、伏線を全てを放棄したラストはあれで良かったと思います。

ラストをこちらに委ねるタイプの作品は嫌いではないし、登場人物の発言から推測するのもまた楽しい。
地震か、噴火か、原爆か? はたまた政府の実験なのか。
全てが正解で不正解、というのも悪くないと思う。

この作品には災害の原因となりそうな考察すべき描写が多すぎるので見極めるのは難しいけど、「核兵器によるEMP攻撃説」と「自然災害発生装置による攻撃説」という陰謀めいた説を推したいです。
これも作品にとってはさほど重要なことではないと思うのであまり意味がありませんが、作品の導入から災害直後の混沌とした世界、ディストピアの描写が自分の好みにドンピシャでハマったので、映像だけでもかなり楽しめました。

作中での出来事において、全てに説明を求めるのは間違っていると思う。
作品について自分で考えることを求められたならば、そのような姿勢で臨むべきではないでしょうか。
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