ShiroKyogoku

ヘイト・ユー・ギブのShiroKyogokuのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
4.7
多くの人に観てもらいたい作品。
アメリカの警察による人種差別による射殺問題を取り上げている。

日本にいると馴染みのない問題だけれども、アメリカにおいて警察官が武器を持っていなかった黒人を射殺した人数は、白人に比べて2倍にのぼるという。信じられない事だけれども、命に関わる問題に明らかに人種差別が反映されている。
今作を観て、人種差別問題に目を向けて、何がそうさせているかを考えてもらえればと思う。
そして掘り下げていった先の原因がわかってきたら、それを変えていくにはどうしていったらいいのかも考えていってもらいたいと思う。


作品では親子、恋人、地元や学校といったコミュニティ、メディアという社会等、さまざまな関係性の間での差別を表現していた。
 中でも学校の友人、及び叔父との会話に見える人種差別の根底にある深刻な偏見や排除の論理、他者を理解しようとしない一方的なモノの見方は、近年の日本社会にも多々見受けられるような傾向にあることだと感じ、とても悲しく辛いものだった。

本当の民主主義って、多数決で決めることや合理性に従うことを意味するものでは無くて、その前提に、「弱者の声や少数意見を理解し、聞き入れる寛容さ」が必要なんだと思う。
決して排除することではない!
でないと、よりよい正義の実現は無いし、人種に限らず様々な場における差別は決して無くならない!

たくさん辛い思いをしてきたはずの主人公が、ちょくちょく見せてくれる笑顔はとても素敵で、作品全体のテーマの重々しさを緩和させてくれた。
一方で最後に主張する場面での力強さは、とても演技には見えない熱い思いが伝わり、涙が止まらなかった。
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