「愛してる」を知るための物語。
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先の戦争でギルベルト少佐を亡くし、心に傷を負ったヴァイオレットだが、
数々の温かい人の気持ちに触れ、自動手記人形〈ドール〉として活躍していく。
そしてこれから時代が移り変わり、手紙の代筆業は無くなっていく。
しかし、人の気持ちがある限りその文化は消えない。
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ネタバレは避けますが、これからアニメを見る方、映画を観にいかれる方は注意です。
劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン鑑賞。
いやそれはもう、とても泣かせていただきました。
何から書いていいかわからない。
手紙の書き出しみたいにうまく言葉が見つからない。この感情をうまく伝えられるだろうかという感想だ。
ヴァイオレットという少女の人としての成長が手に取るようにわかる。
アニメシリーズでは色々なことがあった。
自分が燃えていること。後になってたくさん火傷をしていることに気づいたヴァイオレット。
そこから多くの感情に触れ、人の儚さ、優しさ、美しさ、大切な人を失うことの辛さや寂しさを知る。
言葉に表と裏があることを知る。
全ては理解できなくても、少しはあなたの気持ちがわかるのですと言えるようになる。
それだけで観ている側としては十分感動した。
この作品には明確な悪など存在しない。だから現実味がある。
皆幸せを求めて生きているはずで、誰しも不幸になりたくなどない。
誰かに気持ちを伝えることでそれが過ごし楽になることがある。その手段の一つとして手紙があって、字が書けない人のために代筆業がある。
今作は一貫して代筆業すなわち自動手記人形の物語だ。
人の気持ちを文字することで、相手に伝えられる。
電話やメールが普及した現代ではほとんど失われた文化だが、今作を観れば手紙の良さが痛感できる。
時間が経っても届くし、形になって残ってくれるので、何年経っても色褪せず、気持ちを保存することができる。
たとえ死んでしまっても、手紙は残る。
電話のように今すぐ伝えられるという便利さはないけど、それぞれに良さがあることも今作は明示してくれた。
人の気持ちがいかに尊いものであるかを教えてくれる作品です。
最後になりますが、放火事件、コロナで二度の延期を重ねて公開した。
ここまで作り切ってくれた京都アニメーションのスタッフたちにありがとうと伝えたい。
事件の後は何から手をつけていいかわからないほど公開から遠ざかってしまったみたいだけど、ここまでやり切ってくれて感謝しかない。
亡くなられた方々、心からご冥福をお祈りします。